部長の親友の再会 ページ27
私はその時、野草やキノコ、(ついでに)海水を採りに行っていた。
道中トリカブトを発見した私は、気持ちが高揚するあまりそれをひたすらに観察してしまっていた。
もちろん食べはしない。
別に私はファンタジーのようになんの毒でも強いとか、そんな能力はない。
死ぬ毒くらいわかるし、別に毒物を食べるのが好きな訳じゃない。ただ、これを食べたらどうなるのかを試したい、という気持ちは学ぶ者の原動力になる。それだけだ。
たぶん。
それはさておき、トリカブトを泣く泣く手放してツリーハウスに戻ってきたのだが。
「部長ーー。戻ったよー」
上に声をかけると、大きな声で私に返してくれた者がいた。
「も、もしかしてAか━━━━━!!?」
「はっ!?えっ、誰っ!?」
あんまり急で、あんまり大きな声だったので心臓が飛び出るかと思った。
上から出てきたのは、部長の貧弱な身体と大違いのがたいの人だった。
「うおおおおお!!本当だ!Aも起きてるぞー!!?」
「うっせえデカブツ!!声を抑えろ!鼓膜がちぎれんだろうが!!」
隣で部長が両手で耳を覆っている。
デカブツ━━━?
「その大きな声は…もしかして大樹?…久しぶりだね…!!」
「ああ!!って
………ん?
うおっ!?そういえばA、目が見えてるじゃないかー!!?」
今気づいたのか、というところも大樹らしい。
「うん。なんでだろうね……でも大樹の姿が見れて、ほんと嬉しいよ」
「もちろん俺もだ!千空と一緒に、よく頑張ってきたじゃないか!!」
「だから声を抑えろ!ここは動物園じゃねえ!!」
それより隣の部長が限界そうだ。
それにしても本当に、大樹はずっと起きていたんだな。
それを部長もちゃんとわかっていた。
「……二人の絆だね」
「?何か言ったか?」
「いや、何も?」
……こうして、大樹が仲間になった!
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時