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進まない 進めない ページ25

「…で、何をしてたんだテメーは!!」

「あー、はははは」

勿論怒られた。

まあ朝起きてたら一人で、心配したかと思えば楽しそうに山ほど野草を手で持って帰って来た、なんてそりゃ怒るだろう。

「ありゃ、ごめん部長。次はちゃんと連れていってあげるから」

「いやそういうことじゃねえ…」

「たまには、そういうことも言っていいんだよ」

私は部長に向かって真剣そうな顔をする。

「………!」

部長は少しだけたじろいだ気がした。

それが面白くて、笑ってしまう。

「っ!あははっ、何か部長かわい…」

「あ゛?」

「い、いやぁ、何も言ってないよ……でも、今度は一緒に行こう?」

「あー……わーったよ、行ってやっから」

「さすが部長!」

私はそれからというもの、毎日のように植物をあさっては使えそうなものを持って帰り、部長にこれマジで食べんのかよとか言われたりしている。ついでに海水もちゃんと採ってきた。

部長と散策する日は、私が勝手にどこかへ行かないかをよく監視していて、まともに探していなそうだ。

しかし日々過ごす中で気付いた。

別に何も変わっていない。

部長が一人だった時と、私が増えた時で発展していることがない。

それもそのはず、私と部長の体力を合わせても、部長がミジンコなものだから、二人分の体力にならない。発展のしようがない。

「ねえ部長……。これからどうするとか決めてる?」

「決めてねえ」

「いや決めなよ…」

意外と部長は行動に移せないのかと思ったが、それは違った。

「奴が起きねえことには、俺たちじゃどうにもならねえな。先に進める力不足だ」

「奴?奴って誰……?」

「あ?デカブツに決まってんじゃねーか」

大樹ってこと?

まだ大樹は起きている…?

「何で分かるの?大樹が起きているって」

「別に分かるとは言ってねえ。だがあいつは絶対に寝る訳もねえ。それくらい分かんだろ」

そこまで言われて、ようやく分かった気がする。

あの日、告白しようとして石化した未練を残して大樹が寝るなんて、そんなことは絶対にない。

部長はやっぱり大樹の親友であるんだと、そう思えた。

進むしかない→←至高の洗顔?



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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時

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