至高の洗顔？ ページ24
「……んっ、んん」
ざわざわと、緑が騒いでいる。
私は目を開けた。
視界には天井がある。
「……!!」
急に何かの恐怖に襲われ、ふいに体を起こす。
なぜか心臓がばくばくと音を立てている。
呼吸が速くなっている。
部屋の中を見回す。隣で、部長が寝ている。
「…千空だ…」
そうだ、ここは石化後の世界。
あのあと私は寝落ちしたようで、何十分かあとに部長が私を起こし、ツリーハウスで寝てくれと言った。
……昨日の事を思い出すと妙に恥ずかしくなるのは何故だろう。
いやそれよりも。
その部長が隣で寝ている。
大丈夫だろうか…。
あまりそっちの話はしないが、科学派であるゆえ、知識がないわけではない。
(でもまさか部長がそんな好きでもない女にやましいことなんてしないか!)
とりあえず安心して、部長を起こさないようにそっとツリーハウスを出た。
「あー。いい朝だ」
私は上に手を突き上げ、身体を伸ばした。
顔を洗いに行こうかな、と思い、歩き出す。
森にはたくさんの植物が生えている。
「あ、ヨモギだ」
私はしゃがんでヨモギを抜き、川まで持っていった。
よく洗ってから、一枚をちぎり、口に放り込む。
「うーん、このえぐみがいいんだよなあ。でも水に晒した方が普通においしいか」
顔を洗い、一本道でツリーハウスに戻ろうとはした。
「はっ!!グミがなってる！少し早い時期かと思ったけど…おいしいかな…」
「こんな森にタンポポが生えてるなんて…後でタンポポコーヒーでも作ろうかな」
「フウトウカズラだ…!肉の胡椒の代用にでもするか…あ、でも塩がないんだった」
森は植物の宝庫だ。私が黙って帰れる訳もなかった。
しかしたくさんの野草を摘むことができた。最高だ。
まあ部長は何て言うかわからないが。
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作者名：長庚 | 作成日時：2023年8月29日 22時
