万里の時を駆ける[Dr.STONE] (ページ23)

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千空の気持ちページ23

「…A？」

俺はAに声をかけたが、返事がない。

さっきからAの肩は規則的に上下している。

マジかこいつ、この体制で寝やがった。無防備過ぎるだろ…。

それほどに寝られなかったのだろう。多分当分起きない。

しかしどうするべきか、俺には女子一人を華麗にお姫様抱っこなどという力はない。

ましてや、Aは俺と大して変わらないくらいの高身長なのだ。

マジでどうすんだこれ…。

流石にこの状態で寝落ちなんてわけにゃいかねえ。起きた時にAにドン引きされる。

しばらく待って、仮眠させて、ノンレム睡眠に入る前に起こすか。

そう考えながら、俺は自分の肩に頭を置いているAを見る。

正直、Aが石化前と比べて暗い印象だったというのは目に見えて分かっていた。

石化中は自分が生きていた時間の何百倍もある。

その間中ずっと五感が利かないところで考えているというのは、簡単なことではない。

「部長に一番会いたかったよ」

あれは一体、どんな意味でいったのだろう。

俺も最初の二週間、たった一人で原始の科学をやっていた。そんなときに急に現れて急に抱きいて寝やがって、
手間がかかる奴だ。

俺はゆっくり、Aの頭を撫でた。
「俺もかもしれねえ…A」