千空の仲間になった！ ページ17
その3700年の記憶は鮮明に残っている。
「はーん、じゃあ全部忘れてねぇな」
部長は顔だけこちらに向けて言った。
「うん、それに部長みたいな高速暗算、というか概算が出来るようになったよ。あと、思考力向上とか。ひたすら考えないと寝る」
「おお、んじゃ概算の時は手分けするか!」
「そうだね」
そこで、一度会話が途切れた。
部長が部屋の真ん中にどかっと腰を下ろしたので、私も倣って座る。
「……で、私はこれからどうなる感じでしょうか」
「あ？今仲間になった的なシチュエーションじゃなかったか？」
「別にならなくても私は部長の仲間かと思っていたけど」
そういうと、部長はほんの一瞬きょとんとした素振りを見せた後、悪そうに笑った。
「はーん、そりゃおありがてぇ。
今日からテメーは俺と仲良く同じ屋根の下っつうわけだがな」
「……。バランスが悪すぎ。知識と武力でいったら私も知識派なんだけど」
「問題ねぇ！二人になっただけでも大分違うはずだ」
「絶対違うと思うんだけど」
「絶対なのかそうじゃないのか…どっちだよ」
部長は私の発言に馬鹿にしたように笑った。
私はそれに笑いを浮かべながら、思った。
何かおかしい。
石化前のころと、何かが変な感じがする。部長が言ってること全て、そうなんだ…くらいにしか思わなくなっている。
でも部長に会えたのは嬉しいはずだ…。
でも石化前は、部長の話は何でも面白かったのに…、今はどう相槌しようか迷っているのだ。
「まあもう夕方だ。飯の準備だな」
「あ、うん…」
「……」
部長は黙った。
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作者名：長庚 | 作成日時：2023年8月29日 22時
