科学と私と缶詰と2(回想) ページ12
「シュールストレミング?って?」
(あの有名な缶詰めを知らないとは、なかなか命知らずだねえ…割と世間知らずが多いのかな?)
「なんつーモンを学校に持ってきてんだ、テメーはよ…」
Aはその缶を取り出す。
「いやぁ、本当に高かった〜」
「いやだから、何ソレ?シューレストロミング、だっけ?」
Aは質問した部員に向き直る。
「シュールストレミングだよ。鰊の塩漬け発酵食品なんだ。スウェーデンで食べられるんだけど、個性的なにおいがあってね、俗に言う…」
「あ゛ー氷室、それ以上は実際に食わせて体験させた方がいいだろ」
千空がはさんで言う。Aは頷いた。
「それもそうだね。楽しみはとっとこう。誰か、開けてくれる人…いや、」
と、Aはそこで何かを思い付いた。
隣にいるであろう部長の方を向く。
見えなくても、部長がいると分かる。
「せっかくだからね、部長、お願いします!」
缶を千空の方に突き出した。
「あ゛!?なんで俺が!?やりたくねえ!!」
「お願い〜科学部の貴重な思い出づくりとして!!」
「んなん俺じゃなくたって…あ゛ーわかったよ!テメーかわりに実験の計画手伝えよ」
Aは微笑んで、缶を千空の手に掴ませた。
「服は大丈夫??」
「白衣がある。洗って落ちるかどうか別だがな」
「二人ともさっきから何の話を…」
ベキッ。
部員の声に被さるように、千空が缶を開封した。
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時