科学と私と缶詰と(回想) ページ11
「科学部の皆!今日は皆に土産があるんだ!」
Aは全員に届くように声を大きめにして言った。
「土産?科学部皆に?」
花岡がAに尋ねた。
「ううん?欲しい人だけかな。好みが分かれるかもしれないしね。私は大好きだけど」
「いやいや!!科学部副部長である氷室さんが持ってきてくれた土産が欲しくない奴なんていない!!」
「俺は絶対欲しいぞ!!」
Aが言うと、部員達が次々に声を上げる。
科学部の副部長でありマドンナのような存在のAの持ってきたものだからと、皆が嬉しそうだ。
しかしただいま実験の計画を立てている科学部部長である千空は、Aの性格をよく分かっている。
(どうだかな、氷室がニッコニコで科学部に来るときなんざ、科学に関することでハイテンションになってる時が大半だからな。ほんとに喜ぶモン持ってきてんだか)
そしてAの科学仲間として、千空の予想は大体当たる。
「あちゃ〜ごめん。一缶しか持ってきてないから、一人分が少なくなっちゃうんだけど、ごめんね」
「一缶?そういえば氷室さんは植物に詳しいし、珍しい果物缶でも持ってきてくれたんじゃないか!?」
「あ〜。果物じゃないなあ。でもすごい高かったんだ。飛行機で破裂しないように運ぶから、ひとつ5〜6000円くらいするんだよね」
あぁ。
間違いねえ。
Aが持ってきたのは…
「それで氷室さん!持ってきたものというのは…」
「それはねー。じゃじゃーん!!
シュールストレミング!!!」
千空は小さく笑った。
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作者名:長庚 | 作成日時:2023年8月29日 22時