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いつまで経ってもグダグダとしているAさんに、「間に合いませんよ！」とまるで母親のように声をかけた。「別にいいですよ……」とこっちを見もせずに言うAさんにため息を吐いた。
「だってだって、青森遠いんですもん」
「新幹線のチケット取ってたじゃないですか」
「う〜、……行きたくない！！しかもこの時期の青森ってもうクッソ寒いんですよね」
駄々をこねる彼女は、今日青森の実家に帰る予定の人。なんなら15分後には出ないと新幹線に間に合わない。
前職を辞めてから、俺の家に転がり込んできたAさん。社会人であることを言い訳に、両親に全く報告をしていなかったようだが、ついにこの前全てがお母様にバレてしまった。
半年前から帰還命令が下っていたのをなんとかはぐらかしていたが、「仕事してないなら空いてる時くらい帰って来なさい！」と電話越しについに叱られたようだ。
それでもグズグズ実行せずにいたAさんにとうとうお母様が痺れを切らした。お誕生日を言い訳に、「折角の誕生日くらい帰ってきなさいよ」と言われ、「嫌だ」とAさんが言うより速く、もし来なかったら家族で押しかけると言われたらしい。
「あんな脅迫の仕方あります？！」
「もう腹括って行った方がいいんじゃ……そもそも、なんでそんなに抵抗してるんですか？」
「田舎だからですよ」
彼女の生まれは、青森の端っこ、彼女曰く「あそこは最早先進国日本の国土と呼べるような場所ではない」ところだと前に語ってくれた。
お父様の実家があるらしく、家を継ぐためにAさんが生まれるより昔に移ったんだとか。
おかげでご両親から上京などに関する反対はなかったものの、酷いのは近所だという。
「東京かぶれだの、親不孝者だの、散々ですよ！あんな辺鄙な土地なんかに資産価値はほぼないのにアホみたいにみんな口を揃えて言うんです。ご先祖さまからの土地が云々」
「へぇ〜」
「しかも最悪なのは、弟が最近その思想に侵されていることです。家に帰れば言われますよ、「なんで姉さんは帰ってこないんだ」とかね。あと家事ができない女性を受け入れない姿勢も、遅れです。大幅な」
なんて実家というか、実家の土地嫌いを拗らせているAさんの最後の抵抗。もはや悪あがきになっているそれに苦笑いをしながら、そろそろ本気で出ないと間に合わないと思い、「ほら、覚悟決めて！」と喝を入れた。
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まほろ(プロフ) - morさん» 気付くのが遅くなってしまいすみません…。沢山褒めていただいて、私もモチベーションが上がりました（笑）これからもどんどん西山さんと一宮さんが仲良くなっていくので、是非完結までお付き合いください！ (2021年12月21日 7時) (
レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
mor(プロフ) - 文章を書くのが上手すぎます…！！あとラジオの相槌の感じ（あの、とかを入れるタイミングとか）が絶妙すぎてめちゃくちゃ感情移入できます！！こんなに面白い小説久しぶりに出会いました、これからも応援しております！！ (2021年12月18日 1時) (レス) @page21 id: 06bc4acfa5 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - きゃらめるかも。さん» 素敵なコメントありがとうございます〜！これから長い長い物語になりますが、ぜひお付き合いくださいませ！ (2021年12月15日 7時) (レス) @page9 id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるかも。 - めちゃめちゃ面白いです！！ゴキブリの話とか！笑、その発想はなかったのでビックリしました！これからも、お体に気をつけて頑張って下さい！😆 (2021年12月14日 14時) (レス) @page4 id: 242d71ebf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2021年12月14日 7時
