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「すみません突然、隣人の一宮です」
なんとそこにいたのは、初対面、一宮さんであったのだ。すぐに内鍵を外して、パジャマであることも忘れてドアを全開にした。
一宮さんの存在自体が気になっていた僕にとって、これは決定的な歴史的瞬間だった。
恐ろしい独り言を呟く人とは思えないほど、柔らかな雰囲気を保つ一宮さんは、一礼をして「ご挨拶遅れてすみませんでした」と言った。つられて礼をした俺に一宮さんは「あの、初対面で申し訳ないんですけど」と切り出した。
「ゴキブリ出たので、退治してもらえますか？」
「え」
目の前の、髪を下ろして多分すっぴん、オフ感満載の一宮さん(女性)は手にゴキジェットを持っていた。まさか、である。
西山宏太朗(男性)は、迷っていた。何故なら彼は特段ゴキブリが得意なわけではないからである。ただ、一宮さんがせっかくのご帰宅なのに、ゴキブリを退治できなくてどうしようもなくなるのはなんだか可哀想だと、なけなしの良心が働いた。
若干、生活感のない隣人の部屋に好奇心が湧いたのも、否めきれないが。
これも出会いの一興だと、ゴキジェットを受け取って、いざゆかんとドキドキしながら開いた一宮さんの家の扉の先は、まさに何もない、無だった。
あまりの物のなさに呆気にとられるレベルだった。最早、人が住めるのかというレベルであって、リビング前で固まった僕に一宮さんは後ろから「味気ない部屋ですけど…」と言った。
家具はサイドテーブルと、人をダメにするクッションが一つ。ラグが敷かれていて、周りには大きな本棚があるだけだ。
ダイニングテーブルには椅子が二つだけあって、そのほかにリビングに何一つとして家具がない。
いやいや、味気ないどころではない。
もっとOLの部屋というのはキラキラしていて、可愛らしい女の子空間なのかと思っていた。あまりに殺風景すぎて、この家のどこでリモート会議をしても支障がないのではないか。俺なんて毎回、その辺のものを引っ掻き回して白壁と床を作っているというのに。
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まほろ(プロフ) - morさん» 気付くのが遅くなってしまいすみません…。沢山褒めていただいて、私もモチベーションが上がりました（笑）これからもどんどん西山さんと一宮さんが仲良くなっていくので、是非完結までお付き合いください！ (2021年12月21日 7時) (
レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
mor(プロフ) - 文章を書くのが上手すぎます…！！あとラジオの相槌の感じ（あの、とかを入れるタイミングとか）が絶妙すぎてめちゃくちゃ感情移入できます！！こんなに面白い小説久しぶりに出会いました、これからも応援しております！！ (2021年12月18日 1時) (レス) @page21 id: 06bc4acfa5 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - きゃらめるかも。さん» 素敵なコメントありがとうございます〜！これから長い長い物語になりますが、ぜひお付き合いくださいませ！ (2021年12月15日 7時) (レス) @page9 id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるかも。 - めちゃめちゃ面白いです！！ゴキブリの話とか！笑、その発想はなかったのでビックリしました！これからも、お体に気をつけて頑張って下さい！😆 (2021年12月14日 14時) (レス) @page4 id: 242d71ebf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2021年12月14日 7時
