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それはそれは深いため息をつきながら、「そうか私が聞こえていると言うことは……西山さんにも聞かれているのか」と呟いた。そんな姿が可笑しくて吹き出しながら「人それぞれですよね!」というと、「お見苦しいものを……」と苦虫を噛み潰したような顔で一宮さんは言った。

思わぬ落とし穴である。


「穴が無いなら自力で掘るんで入りたい……」


やけ酒とでも言いたげにビールを飲んだ一宮さんのことを笑ってると、「いつまで笑うんですか」と不服そうな声がした。


「じゃあクソとか、カスとか。死ねとか聞こえてたんですよね」

「バチこり」

「なんてことをしてしまったんだ……」


頭を抱えながら、「集合住宅の闇ですね」と言う彼女のコップにビールを注ぎながら、「大丈夫ですよ、最初は大分引いてましたけど」と言うと、「引いてるじゃないですか!」と言われて大声で笑った。


それから二人で談笑して、最後の最後、玄関から出る寸前まで「忘れてください」と言う彼女に「忘れません」と笑いながら言っておやすみをした。


一宮さん、最初は怖かったけど。
思ったよりか結構普通の人なんだな、なんて思った。

やはり自分も、大人になったのだなと思う。
ほとんど話したことのない人とでも、ありきたりな話でそれなりに盛り上がれるのが、その証拠だった。
少しだけ、一宮さんという人間自体に興味惹かれていたのもあるだろうけど。



(西山)「それでですね〜、結構仲良くなりまして」

(梅原)「あの噂のお隣さんですか?」

(西山)「そうですそうです。あの〜この前ご飯を一緒にしましたね」

(梅原)「おおー、すごい。結構あの、仲良くなってますね」

(西山)「そうなんですよね、結構なんていうか、普通の人っていうかね。別にそんなに……やばくないって言ったら嘘になりますけど!!」


笑いながら話すのは不思議な隣人との小話で、こうして話してる間にも、きっと一宮さんは会社でヒィヒィ言ってるのかもしれない。そんな彼女に心の中で「ファイトです!」とエールを送って、マイクに向き直した。


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まほろ(プロフ) - morさん» 気付くのが遅くなってしまいすみません…。沢山褒めていただいて、私もモチベーションが上がりました(笑)これからもどんどん西山さんと一宮さんが仲良くなっていくので、是非完結までお付き合いください! (2021年12月21日 7時) (レス) id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
mor(プロフ) - 文章を書くのが上手すぎます…!!あとラジオの相槌の感じ(あの、とかを入れるタイミングとか)が絶妙すぎてめちゃくちゃ感情移入できます!!こんなに面白い小説久しぶりに出会いました、これからも応援しております!! (2021年12月18日 1時) (レス) @page21 id: 06bc4acfa5 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - きゃらめるかも。さん» 素敵なコメントありがとうございます〜!これから長い長い物語になりますが、ぜひお付き合いくださいませ! (2021年12月15日 7時) (レス) @page9 id: 0871b431d8 (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめるかも。 - めちゃめちゃ面白いです!!ゴキブリの話とか!笑、その発想はなかったのでビックリしました!これからも、お体に気をつけて頑張って下さい!😆 (2021年12月14日 14時) (レス) @page4 id: 242d71ebf1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2021年12月14日 7時

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