過去の正体（拾陸） ページ45
「はぁはぁっ……」
結局、私はお姉ちゃんを斬れずにいた。首を斬れず、ただ走り回り逃げるだけ。
だけど逃げるのにも限界が来た。
前からは鬼となったお姉ちゃんが私の稀血の香りに誘われ、目をギラギラさせて息を荒げてジリジリと私との距離を詰めてくる。
私はお姉ちゃんが近づいてくるのと比例して後退りする。が、背中には藤の花。つまり、壁。
もう後ろには下がれない。それに逃げ回った私の体力は限界だった。
斬るしかない。生きるためには。
日輪刀は構えるとカチャリと音を立てた。
でも。お姉ちゃんを斬って私1人生き残ったところで何になるんだろう。
お母さんもお父さんもお姉ちゃんもみんないない。
そんな世界で私が生きる意味はあるのか。
みんなで過ごしたあの時間はもう一生過ごすことはできない。
大好きな家族はもう誰もーーーーーーーーーー
鬼になったお姉ちゃんが私に飛びかかる。
私は日輪刀から力を抜き、刀を下ろした。いや、下ろそうとした。その時。
「闘え！！！！！自分の道は自分で決めろ！！他人に委ねるな！！」
声が聞こえた。
ーーーーーーーー目が覚めた感覚がした。
目の前には鬼になったお姉ちゃん。変わらず私を喰べようとし……変わらず…？？
私は見た。その鬼の目から涙が溢れているのを。
ーーーたたかえ………闘え！！！！
もう一度日輪刀を握り直す。
「香りの呼吸ーー伍の型っ。擬宝珠(ギボウシ)の舞っ！」
首目掛けて刀を力の限り振ると、皮膚を斬り裂く感覚が刀越しにはっきりと分かった。
ゴトッと重々しい音。鬼の首が体と離れ、床に転がった音。
急所である首を斬られた鬼の体はだんだんと消えていく。
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お茶犬(プロフ) - るんるさん» はじめまして。全然気づいていませんでした、教えて頂きありがとうございます！修正しました！褒めて頂けてとても嬉しいです！！頑張ります！またお時間ある時にでもお話読みにきてください(*´-`) (2020年11月4日 19時) (
レス) id: 72156f6cb2 (このIDを非表示/違反報告)
るんる(プロフ) - すみません。炭治郎の字が違います，，，お話めちゃめちゃ面白いです！頑張ってください！ (2020年11月3日 23時) (レス) id: 89ac41ad4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶犬 | 作成日時：2020年10月22日 23時
