過去の正体(拾肆) ページ43
「だーかーらーもう1人の稀血を見つけないとだめだよー。
あのお方はその子を求めてる。」
なんでだろう。鬼が目の前にいて怖くて、家族を奪われて悲しくて悔しくて、さくらを許せなくて。いろんな感情がぐちゃくちゃなのに頭は空っぽであいつらの会話がすんなりと入ってきて頭に響く。
「あのお方だかこのお方だか知らないわよ!早く治して…じゃないと…じゃないと死んじゃう…」
少し弱々しくさくらがそう言った後。
「治してやろう。」
その新しい声が聞こえた瞬間、これまで感じてた恐怖の比ではないほどの恐怖が私の中を支配した。
鳥肌がたった。悪寒がした。全身の血の気が引いた。
本当に体が動かない。
その恐ろしい声の正体は一切の音をたてず、いつのまにかさくらの背後にいた。
「無惨様、お待ちしておりました」
あの鬼はそう言って跪いている。
″無惨″と呼ばれた黒髪に青白い顔の男はその鬼には目もくれず、さくらに近づいた。
ーーーーーーー瞬間。
さくらのお腹の傷口に無惨は手を突っ込んだ。同時にさくらの口とお腹からは血が噴き出る。
悲鳴が出そうになる口を手で塞ぎ必死に堪えた
「あ″ーーーーーーーーー!!!!!!
ゔっっっぐっ……あ″ぁ…ゔぅ…」
さくらは叫び声を上げながら床を転げ回っている。
な、何が起きてるの?
苦しんでいるさくらをよそに無惨達は奥の襖を開けた。
今度こそ口から悲鳴が漏れた。
お、お姉ちゃんが…血だらけで倒れてる……
横たわっているお姉ちゃんに向かって無惨は手を伸ばしぐっと拳を握りしめた。
すると、その拳からは血が。
その血は手をつたってお姉ちゃんにたっぷりと降り注いだ。
その光景を見た時私の中で何かが切れた音がした。
「…めて。ーーーーーやめて!!!!お姉ちゃんに何するの!!!」
気づくと私は叫んでいた。震えて動かなかった体も気づければお姉ちゃんに向かって走り出していた。
馬鹿だと思う。丸腰で鬼の目の前に出ていくなんて。
それでもお姉ちゃんを汚された感じがして許せなくて勝手に体が動いたの。
必死に走って無惨達の足元に横たわっているお姉ちゃんに抱きついた。
「お!噂の稀血じゃないかぁ!無惨様、こいつが一番濃い稀血です。」
「うるさい!!!私のお姉ちゃんになにしたの!?」
「無惨様の血をわけたのさ。光栄なことだ」
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お茶犬(プロフ) - るんるさん» はじめまして。全然気づいていませんでした、教えて頂きありがとうございます!修正しました!褒めて頂けてとても嬉しいです!!頑張ります!またお時間ある時にでもお話読みにきてください(*´-`) (2020年11月4日 19時) (レス) id: 72156f6cb2 (このIDを非表示/違反報告)
るんる(プロフ) - すみません。炭治郎の字が違います,,,お話めちゃめちゃ面白いです!頑張ってください! (2020年11月3日 23時) (レス) id: 89ac41ad4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶犬 | 作成日時:2020年10月22日 23時