らくだい魔女と終わりの魔法 (ページ28)

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２８．朝飯前ページ28

チトセside

「どうして……ここに…」

ポツリと、オレの声が路地に溶け込む。

４人は、それぞれ気まずそうに、オレを見つめた。

「どーう？情報掴めた？」

そうニヤリとするのは、カイ。

「チトセくん……本当に…」

不安そうに、瞳を揺らがせたのは、カリン。

「…………」

腫れぼったい目で、挑戦的な眼差しを送ってくるのは、リリカ。

「………君は唱えるべき人じゃない」

そうブツブツ呟くのは、黒の城の王子のアイツ──…キース。

目の前の光景が信じられず、思わず後ずさりする。

カイと、黒の城のアイツは来ると思っていたが、……まさか、カリンとリリカまで来るとは。

「……チトセくん、本当に、行くの……？」

カリンは、瞳に涙を溜めていた。

「……ごめん」

オレは、ポツリと呟く。「ごめん」としか、言えなかった。

「ごめんじゃないわよぉっ！……やっぱり、こんなの駄目だわ。こんなの……フウカちゃんは喜ばないもの……っ」

カリンは、大きな声を出した。

「フウカちゃんはぁ……っ！」

声を詰まらせるカリン。そんなカリンの肩に、カイが手を置いた。

「……ちーくんが……決めたことなんだよ」

「でも……協力なんて…無理……っ……こんなのおかしいよぉ……」

ポタポタと、地面を涙が濡らす。

オレは、キリキリと痛む胸を押さえながら、路地の向こうに歩いて行く。

「待って……ダメ……！！」

カリン達が追いかけてくる。

ごめんな、カリン。

これしか方法はないんだ……。

地下へ続く道を探さなきゃ、そう思い早歩きしていると。

「アルディテラ・グランドテラース！」

リリカの声が響くと、

グワグワ……ガガガガ……！

地面が大きく揺れ、穴が空いた。

「え……」

「地下に行きたきゃ、道を造ればいいのよ」

フウカに似た発想だな、と思った。

さすが、大地を司る黒の城の王女だ、こんなのは朝飯前らしい。

オレは、リリカに一言「サンキュ」と礼を言い、穴に飛び込もうとした。

すると、カリンが、

「待って！……私も、行く…！」

そう言ったのだ。

あまり危険にさらしたくないが、カリン自身の行動だ、仕方ない。

オレ達は、暗いぽっかりとした穴に飛び込んだ。