サマーキャンプ14 ページ45
この夏の流行りの柄の浴衣を着た苺加が、作ったくじを、みんなに引かせる。
「誰と誰がペアになるか?面白いでしょ?その人が運命の人だったりして」
キャピキャピと笑いながら冗談を言う苺加に悪気はないが、もしそれが本当だとしたら冗談とは言えなくなる。苺加の冗談を意外にもあこが真に受ける。
「3番だ」
北山は、あこが何番か気になりあこに駆け寄ろうとするとすでに、永瀬がいてくじを見せあっていた。どうやらペアになっているようだ。
「3番だれ?」
ぶっきらぼうな玉森の声に北山が振り向く。
「えっ、?!マジか?」
嘆く玉森に北山も、
「オレだって同じだっつーの」
葉月が玉森の様子を見て心配し、
「大丈夫?」
「もう、ヤダ。帰りたい」
北山とペアになったことを気の毒に思うが、おかしくて笑いたいけど 笑ったらにらまれるので我慢する。が目が笑っている。
2人並ばず前に北山、後ろに玉森。人が2人ぶん入る間隔を置き無言で進む。STAFFと表示してあるドアの前で、「あっ間違えちった」
仏頂面だった北山が笑ってごまかす。
「普通、間違う?お化け屋敷で、道 間違うってあり得ない」
キレ気味に玉森が小バカにした態度をとる。
「じゃあ、前行けよ」
「わかった、先行くワ」
暗がりでスタンバイしているアルバイトのお化け役のスタッフが2人の険悪な雰囲気のせいで出てこられないでいた。
玉森がポケットに手をつっこんで出てくる。
後からムスッとして北山も出てくる。
「エレナちゃんてお化け、得意なんだっけ?」
いつものニコニコ顔で聞く宮田。
「うふふふ。ホラー系は得意分野よ」
「ボク頼っちゃうね」
エレナの浴衣姿にキュンとしているのに褒めるタイミングを失う。「宮田くん浴衣、カッコイイね」エレナに先に言われてしまい、完全に言いそびれる。中に入りエレナの履いている下駄の音を鳴らしながら前に進む。曲がり角からアルバイトのお化けが勢いよく出てくる。この前の北山・玉森ペアをおどかせなかったのがあるせいか、かなり威勢がいい。そのためにエレナがぶつかってしまい、尻もちをついてしまう。
「大丈夫?エレナちゃん」
「う、うん大丈夫だよ」
宮田がエレナを起こす。
「君も大丈夫?ちょっと元気良すぎたみたいだね」宮田の気遣いにアルバイトのお化けがふたりに謝る。
「さっきまで気味悪かったけど、なんか全然怖くなくなっちゃった」
宮田の優しい対応にエレナの心が動く。
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作者名:ふなパスタ | 作成日時:2020年4月12日 18時