バレンタイン 続き ページ20
グリフィンドールとスリザリンの合同授業が終わり、放課後はそのままおしゃべりしていたり
部活に行ったりと、まばらになりざわざわしている。
あこの隣の席が空くのを見計らい、ダッシュで座る北山。勢いすぎてあこの右半身にぶつかる
「なに？」眉間にシワをよせる。
「なぁ？」
「…？…」
「オレに、黙っていることない」
「はっ？ないよ、全然。…なに？」
「ふ〜ん」
「もうなによ？」
「永瀬にさ、お姫様だっこ…されてない？」
「えっ？なんで？」
藪から棒に言われて、怪訝そうに北山を見る。
「廉にお姫様だっこぉ？」
「あっ“廉“とか言っちゃってる」
口を突がらせる。
「そんなこと、ありえな…あっ！」
少しずつ思い出す。あこの顔をのぞき込む。
「黙ってた訳じゃないよ」
「そう？なんで？」
「言ってむくれない？」
「しない」
「じゃ、言うよ」
「うん」
しっかりあこの顔を見る。
「廊下で杖を強く振ったら」
「はい」
「手がすべって…像の頭の上にのっかっちゃって…」
「ウム」腕を組む。
「取ろうとして、登ったの。そしたは下から声が聞こえて…それに気をとられて、足がすべったの…」
「それで？」
「落ちたの」
「永瀬の腕に？」
「そう…」
「すぐ、オレに言えばいいじゃん」
「ムリでしょ、すぐって」
ムスっとむくれ出す。
「ホラッ怒ってる。だから言いたくないんだよ」
すっかり横を向いてブツブツし出す。
機嫌が直らない北山に仕方なく、
「じゃあ、ミツもやればいいじゃん…お姫様だっこ…」
横を向いていた顔を正面に向き直して
「そっか」納得して手のひらに拳をぽんと叩く。
「やばっ」あこは、慌てて走り出す。
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作者名：ふなパスタ | 作成日時：2020年4月12日 18時
