陰の薄い美人 (ページ2)

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1年目の6月と云えば丁度原作が始まる頃である。

主要キャラと仲良くなると云う高い志を持ってはいるが最初のうちは少しだけハードルを下げ漫画の一コマに入る位の心持ちで行こうと思う。

という訳で1巻1話の綱吉くんが京子ちゃんに告って持田先輩に絡まれる回だ。

現在私は剣道部員に道場に連れて行かれた綱吉くんを追いかけ初めて入る剣道場に居る。

個人的に序盤はギャグ回なので身の危険は何一つない安心して綱吉くんの側に居れる回なのだ。

といっても認識はされていないけど。

持田先輩が大声でルールを説明している間暇なので因みに言うと私は名簿番号的には綱吉くんの後ろなのだ。

沢田・白石と続いている。

詰まる所入学式から席替えのやっていない今私の座席は綱吉くんの後ろであり、プリントを渡す時などいつも私の方を見ているはずなのに綱吉くんは全く私の事を知らないのである。

この世界はどうなっているのだろうか。

そうこう説明をしているうちに綱吉くんはトイレ逃走を済ませた所だった。

くっそ、見ておけば良かった。

綱吉くんが剣道部員にトイレに行きたいと言う原作では描写されない場面を。

不覚だった。

とは言えこうして原作に突入した事によって私が主要キャラ達と関わる未来もそう遠くはないのかもしれない。

そう考えると少しだけ心が軽くなる。

そろそろ頃合いだろうと扉の方向へと視線を向ければ案の定大きな音を立てて扉が開かれた。

下着一枚姿のメラメラと燃えた炎を頭に宿らせる綱吉くんである。

その登場の仕方と格好に周りは騒めくが私は口元のニヤケを抑えるのに必死だ。

まあどうせ誰も気付いては居ないだろうけれど。

こうして綱吉くんと持田先輩の戦闘(笑)が始まった

漫画で見た時は唯の爆笑シーンではあるものの実際に見ると中々生々しいものである。

見るも無残な姿となった持田先輩と彼の髪の毛を握りしめる綱吉くん。

完全にカオスである。

今はその手から髪の毛を離し京子ちゃんとお話をしている微笑ましい綱吉くん。

可愛いから早くくっついてくれ。

ホワホワとした気分になりながら一度視線を床へ向ける。

突然だが私は図書館の本に他人の髪の毛が挟まっていたらもうその本は読まないタイプだ。

詰まる所ハゲ散らかされた持田先輩の髪の毛は最早汚物にしか見えない。

誰が片付けるんだろ。

なんて考えながら私は片付ける気は無いし絶対に無いだろうが風紀委員に絡まれるのは嫌なので大人しく教室へ戻った。