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そんな空気の中でコネシマは冷静に、ただ神が出てくるのを待っていた。チーノはそんなコネシマの姿を見ると少し安堵したのであった。
「チーノ、よく見とき…あれが、此処までこの宗教を拡大させた根源や。」
チーノはコネシマのその目線の先を追うと、そこにはこの世で見たこともないほどの美しい…まるで天から舞い降りた神かと見まがうほどの一人の女性が立っていた。頭に真折の鬘を被り、鏡を手に持ち、真っ白な絹の衣を身にまとったその姿はあまりにも現代的ではないのにも関わらず、彼の心を惹きつけて離さなかった。
『此処に集まった皆さんに幸福を。そして今日初めて出会った貴方に幸福を。』
彼女の言葉はそこにいるすべてを揺るがした。それだけ言い終えるとそのまま彼女は再び奥へと戻って行ってしまった。依然として会場は熱狂に満ち溢れ、みな口々にA様！と叫んでいる。
そんな折、チーノは震えていた。それは混沌としたその空気故ではなかった。いや、最早そんな周囲の事などは気にも留めていなかったかもしれない。彼は、あの眼に心を奪われてしまっていたのだ。この世で、こんなにも美しい女性がいるのかと。
☼
Aはうんざりしていた。
来る日も来る日も修練を積んだ信徒の来訪を出迎え、彼らの話を聴き祈る。反抗期に抑圧を受けて育った彼女には何事も受け入れる以外に選択肢がなかった。
「A様、本日の来訪者リストです。」
『ありがとうございます。此方の方は、今回初めてですね。』
「えぇ、先日の教授会で信仰に目覚めたようで。かの〈有名な〉大宇宙商事に勤める青年ですよ！」
有名な、など言われてもAにはそのすごさが一ミリも理解ができなかった。へぇ〜と適当に流して、白い牢獄から地上に降り立つ準備をしたのであった。
「お初にお目にかかります。チーノと申します！」
『こんにちはチーノさん、貴方に幸福を。』
そういって微笑みかければ、彼は頬を夕日のように染め上げた。面会と言っても、特別何かをするわけではない。初対面と言うこともあり、当たり障りのないようにAは話を振っていく。
「俺、貴女を一目見た時から好きになってしまったんです。どうか、僕と結婚してくれませんか？」
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メイナード(プロフ) - 天の河さん» 天の河様、コメント有難うございます。心中をはじめとした愛故の行動というものは、いつだってどう暴走するか予想の出来ないものですが、それが綺麗で、幸福であったならそれに越した事は無いと思います。閲覧有難うございました、どうか良き日をお過ごし下さい。 (2021年8月15日 19時) (
レス) id: f7c0eb2159 (このIDを非表示/違反報告)
天の河(プロフ) - 著名な方しか居ない合作ともあって、全てのお話が綺麗で、読んでいてとても楽しかったです。心中は個人的にとても大好きなので幸せです。grさんのお話と、馬鹿なshaさんのお話が特に好きです。もう大好きです。ありがとうございました。 (2021年8月15日 16時) (レス) id: cb69af0fdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：企画参加者（午後） | 作成日時：2021年8月15日 12時
