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鍵がある可能性が高いトントンの部屋へ駆け込み、手当たり次第に引き出しやクローゼットを開いていく。
床に置かれていた段ボールを開ければ、手錠や人差し指ほどの幅のそれなりに長さがある布。手錠は言わずもがな、布は恐らく目隠しだ。
面食らうが戸惑っている暇はない、段ボールの中に手を突っ込み鍵を探す。手錠の鍵なのか足枷の鍵なのかは分からないが、明らかに家鍵とは違う形の鍵が何本か入っていた。
一縷の望みに賭けて、見つけた鍵を握り締めて玄関へ戻る。慌ただしく鍵穴に差し込んでいくが、合う物は一つもない。
残り一本、最後の鍵を鍵穴の前に持っていくと、カチャリと音が鳴った。鍵はまだ差し込んでいない、それはつまり……
鼓動が速まり、息が詰まる。
ドアが開く様子がスローモーションに見える。この扉を開ける人間は一人しかいないというのに、もしかしたら助けかもしれないと思ってしまった。
きっと私は血の気を失った顔をしているだろう。今から部屋に戻ったら間に合うかもしれない。そしたら、何事もなかったように見えるだろうか。
震える足に鞭を打って部屋を戻ろうとした。しかし何かが私の足を引っ張り転んでしまった。
足元を見れば足枷が。その足枷の先を見れば、枷から伸びる鎖をトントンが握っていた。
母音しか出ない口と、腕までしか見れない目に抜けた腰と動かない手足。トントンは私が先ほどまで持っていた鍵たちを拾う。
トントンが私の名前を呼んだ。神経質な、険悪に尖った声だった。恐る恐る顔をあげて、私はやっとトントンの顔を視界に写す。
凄まじい怒りが眉のあたりに這っているのが分かる。冷やかな眼差しは私を一直線に射抜いており、一文字に結ばれた口は名前を呼んでから動く気配はない。トントンの怫然の表情に肩を震わせる。
鎖を手に持ったままトントンは家に上がり、未だに立ち上がれない私と視線を合わせるためにしゃがんだ。
怒気が混じった、唸るような声でトントンは喉を震わせる。
「どこに行こうとしてたん？」
「ぁ……ちが、どこにも行こうとしてない……」
「そんな格好でその言い訳は無理があるやろ」
譫言のように否定したところで弁明にもならないことは分かっている。それでも、蜘蛛の糸より細い希望に頼る他なかった。
「わたし、……ちがうの！ 違うから……」
「なにが違うのか分からへんわ。ちゃんと一から説明してや」
鎖に移る視線を見て必死に理屈づけようとするが、気が動転しているせいか全く思い付かない。
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メイナード(プロフ) - 天の河さん» 天の河様、コメント有難うございます。心中をはじめとした愛故の行動というものは、いつだってどう暴走するか予想の出来ないものですが、それが綺麗で、幸福であったならそれに越した事は無いと思います。閲覧有難うございました、どうか良き日をお過ごし下さい。 (2021年8月15日 19時) (
レス) id: f7c0eb2159 (このIDを非表示/違反報告)
天の河(プロフ) - 著名な方しか居ない合作ともあって、全てのお話が綺麗で、読んでいてとても楽しかったです。心中は個人的にとても大好きなので幸せです。grさんのお話と、馬鹿なshaさんのお話が特に好きです。もう大好きです。ありがとうございました。 (2021年8月15日 16時) (レス) id: cb69af0fdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：企画参加者（午後） | 作成日時：2021年8月15日 12時
