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サムは店の奥へと消えていき、カウンターに並べた鏡と同じようなサイズの鏡を一枚持って帰ってきた。
サム「とても綺麗な装飾だろ?しかもこれ世界に一品しかない一点ものさ!どうだい、小鬼ちゃん?」
『これ…どこかで見たことあるような…』
サム「これは一点もの。それはきっと小鬼ちゃんがこの鏡に惹かれたということじゃないかい?」
『そういうこと、ですかね?』
ラギ「サムさーん、ちょっといいっスか?」
サム「OK ! すぐ行くよ」
サムがラギーの所へ行くがAはまだ頭を捻っている。思い出そうと鏡を見つめていると鏡に何かが映り出した。
『?』
何か映るのかとそのまま見ていると、ぼんやりと黒いハットを被った人物とグレーのスーツを着た人物が横切った。
『ミスターとスキャター?』
仕事仲間らしき人物が映り、Aは鏡のことを思い出した。紫や緑を使ったデザイン、ゴテゴテとした装飾……一年程前にこの世界に来た原因となった鏡とそっくりなのだ。
『…帰れるかも』
僕がこの世界に来てから約二年。僕が居た世界と人間界、こちらの世界…どれも時間の経過が同じではないであろう事はわかっている。
それがいい方か悪い方かはわからないが、そろそろ戻らないと仕事が取り返しのつかない事になる。
ラギ「鏡決まった?俺もう買い物終わったっスよ?」
『あ、うん。これお願いします』
ラギーに急かされ、手に持っていた鏡をサムに渡した。
「Thank you、小鬼ちゃん!」
・
・
買い物を済ませ購買を後にする。ラギーは小さな紙袋を軽く振りながら、Aに話しかける。
ラギ「なんかそのデザイン……意外っスね」
『なんとでも』
その後寮に帰ってから自室に鏡を掛けたのだが、ユウとグリムにもイマイチな顔をされた。
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作者名:いす | 作成日時:2022年2月7日 18時