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26-1:似たもの同士 ページ29

リリア「お主、可愛い顔をしておるのう」
『?!』

本当になんとなく、植物園で本を読んでいたら上から何かやってきた。

『……強者』
リリア「お主もなかなか」

両者共に大きな目を合わせて離さない。まるで静かな威嚇。

リリア「だが……ふむ。お主自身というより、お主の纏う“なにか”じゃな」

宙に浮いたまま、手を顔に添えて考えている。

リリア「この類は…………まさか。しかし……」

頭に浮かぶ何かを疑っては払い、疑っては払い……表情がコロコロと変わる。
そして意を結したように口を開く。

リリア「お主、名はなんという」
『……A』
リリア「!やはり、そうか」

そういうと目の前の彼はククッと笑いだす。何やら、彼の中で答えが見つかったようだ。

リリア「失礼、A。わしの名はリリア・ヴァンルージュ。仲良くしてくれんか?お主程の珍しい生徒、何百年いようとも会えんだろう」

大きな目を細めて笑う彼には、どこか試されているようだ。
この言葉と仕草……ヴィランの勘とでも言うべきか、彼は僕のことを知っていると確信した。

『……僕もこんなところにリリアみたいなのがいるなんて驚いたよ。こちらこそ、仲良くしてくれたら嬉しいな』

この世界舐めらては終われない。僕も負けじと笑顔を作る。

リリア「くふふ……やはり、聞いていた通り只者ではないのう。そうじゃ!是非ともお主に仲良くしてほしい者がおる。今度紹介してもよいか?」
『うん、大丈夫だよ』
リリア「良い返事じゃ!」

不思議なことだ。彼は僕より長生きしているはずなのに、昔のことは僕の方がよく知っている。

リリア「ああ、安心してくれ。お主のことは誰にも言わん。言っても信じんだろうがな」
『じゃあ、僕も君のことは誰にも言わないよ』
リリア「くふふ、秘密を共有し合う秘密の友人じゃな」

少年のように笑う彼につられて僕も笑う。

『バレてるなら恥ずかしいことできないなぁ』
リリア「お?いいんじゃぞ?誰にも言わんから」
『……僕の行動はマスターの行動でもある。マスターの顔に泥は塗れないからね』
リリア「ふむ、良い心がけじゃな」

彼と打ち解けあっていると、遠くから彼を呼ぶ声が聞こえてくる。

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作者名:いす | 作成日時:2022年2月7日 18時

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