22-3：昔の友人 ページ14
ルーク「日差しが反射して、黄金色に輝いているね」
ラギ「やっぱり純金でできてるんじゃないッスか！？」
リドル「ふふふ。そうだとしても、さすがにこれは持ち帰れないだろう」
トレイン「とても美しい……」
ユウ「この鐘って…！ね、Aさ＿＿」
皆が口ぐちに感想を言い合う中、唯一Aに話かけたユウはAの異変に気付いた。
皆がフランムと話をしているのにAは片手で鐘を撫でながら鐘と鐘の間をふらついていた。
ユウ「……」
そんなAを不思議に思い、ユウもAの後に続く。
『！』
”チリン”と、大きな鐘のどこかからとても聞き覚えのあるベルの音が聞こえた気がした。大きな鐘に似つかわしくない可愛らしい甲高い音。
『……ヴェール？』
背後から感じ取れる気配に振り向くと、”ビッグマリー”と記された鐘が堂々と吊り下げられていた。
『……』
ほんの僅かに残っている彼女のマスターの魔力。風に吹かれでもすれば消えてしまいそうな魔力に、思わず一歩後ずさる。
『そうか』
この世界がなんなのか、漸く到達できた答えに嬉しさと驚きが混ざり合って呆然とする。
ユウ「Aさん。今、ヴェールって…」
後ろから着いてきていたユウは、その名前が聞こえて目を丸くしながらAに話しかけた。
『ん？』
ユウ「いや、ヴェールって聞こえた気が…」
『いやあ、ヴェールって鐘だったなって思い出しただけ』
どこかはぐらかそうとしているAに、これ以上突っ込んでいいのか頭をフル回転させる。
ロロ「どうかされたか、A」
すると、すぐそこまで来ていたロロ・フランムの姿に二人の話が打ち切られた。
『いえ。綺麗で思わず歩き回ってしまいました』
ロロ「そうか。楽しんでもらえているなら結構。だが、そろそろ町へ向かおう」
『はーい』
普段と変わらないAの姿に、今の一瞬が夢だったかのように思えてくるユウ。フランムと話しながら戻るAの後ろに引っ付きながらそんなことを考える。
ユウ「A様……」
何を知ってしまったのだろうと心配しつつも、Aを見習って平静を装うように努める。
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作者名：いす | 作成日時：2022年2月7日 18時
