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ヴィル「誤解を招くような言い方しないで頂戴。ただ、磨けば光ると思ったのよ」
『……』
ヴィルの言葉を聞いて眉をピクつかせたAだったが黙ってシチューを口に入れた。
Aは学んでいた。同僚たちと違って礼儀のなっていない気性の荒い者が多い…ハイエナガールがいっぱいなのだと。
ルーク「すまないね。ヴィルは美しさに少々厳しいんだ」
『いえ…』
私の言葉に拗ねたのか、ルークの慰めも流して料理を食べ進めている。
ラギー「あっ、いた!Aそこにいたんスね!」
食事もあと少しになった頃、サバナクローの寮生がこちらに駆け寄ってきた。
ルーク「おや。ラギーくんじゃないか」
ヴィル「知り合いなの?」
ルーク「ああ、彼は逃げ足が早くてね。ハンターの腕がなるよ!」
ヴィル「なに新学期早々新入生追いかけてんのよ」
ラギー「げっ、ルークさん…」
ルーク「やあ、ムシュー・タンポポ!」
警戒心剥き出しのラギー。明らかに足取りが重くなっている。それほどルークがトラウマになっているのね。
『ラギー。今日はレオナさんの所じゃなかったっけ』
ラギー「レオナさんにアンタ呼んでこいってパシられたんスよ。この間なんかしたんスか?」
『…………………いや?』
ラギー「不安になる間っスね。ほら、優雅に食べてないで早く行くっスよ!」
『わっ。すみません、失礼します!』
ルーク「ああ。またね」
ヴィル「気を付けなさいよ」
ラギーに引っ張られて去っていくA。二人の目の前はガランと空いてしまう。
ルーク「…ヴィルも気付いていたかい?テーブルマナーまで心得ているとは素晴らしいね」
ヴィル「ええ。悔しいけど完璧だわ」
喋りながらだったから食事にはあまり触れなかったけど、彼は食べ方が美しかった。学園でテーブルマナーを心得ている生徒は少なくないけど、あそこまで自然に熟すのはマナーが身に付いている証拠だわ。
ヴィル「ふふ。一度あの子で遊んでみたいわね」
とても映える顔をしてたけど化粧はしていなかった。あれはいくらでも化けるわね。
ルーク「ほんとうかい?ヴィルプロデュースのAくん、とても楽しみだ!」
ヴィル「その時はルークも手伝って頂戴ね」
ルーク「勿論さ!」
今度、ルークにAを連れてきてもらおうかしら。
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作者名:いす | 作成日時:2022年2月7日 18時