【降谷零】お兄ちゃんって呼ばないで【名探偵コナン】

Siblings：06 ページ7

「___はい、失礼します」


ピッと携帯の通話終了ボタンを押す


帰宅してすぐ例の店舗へ電話を掛けてみたら、何と即日で雇ってもらえると言われた




「園子ちゃんのお陰かな」



放課後の帰り道で「あんたの写真送っといたわよ」と
早速そこの店主に私の顔写真…曰くプリクラをメールで送信したらしく、割と気に入って頂けたみたい




「零にぃに連絡しなきゃ」



上機嫌な鼻歌混じりに『アルバイトする事になったよ』と短い文面のメッセージを送る


今迄は月末にお兄ちゃんからお小遣いを貰うか、欲しい物があれば随時おねだりしなくちゃだったけど



「やっと自力でお買い物が出来る！」



これがどれだけ嬉しいか

何だか自立に向けて一歩前進したみたいで
自分で自分が誇らしい



それにあんな大変な業務こなして得た彼の給料を、何もしてない私がふんだくるのは気が引けて仕方なかったから


当の兄が、そんなこと微塵も思っていないにしろ



「ちょっとは零にぃの負担減らせるかな…」



今日も疲れてるだろうし 夕飯は定番のカレーライスにしよう、と静かに献立を考えた






それから時刻は午後10時を廻り

私はというと、1人で夕食を済ませ
たった今お風呂も終えたところ



勿論兄の夕飯も用意している

ポテトサラダや唐揚げにはラップをして、品質保持の為タッパに入れたカレーと共に冷蔵庫へ入れておいた




「遅いなぁ…」



ぽすっ、とリビングのソファに腰を下ろし
そのまま足を伸ばして寛ぎ始める


…12時過ぎても来なかったら
言われた通り大人しく寝よ


そう心に決め、湯冷め防止と膝にバスタオルを掛ける



風呂上がりで火照った体に
開けたベランダから夜風を浴びれば

自然と瞼が重くなるのも、無理もない話だった




＊＊＊




時計の短針が2の数字を指した頃

玄関のドアを開けると未だ明るいリビングを見て
夜更かしの苦手な子なのに、と少し驚く


夕刻、バイトを始めると妹からメールが来たが
結局返信できず仕舞で気になって仕様がなかった



「A、ごめん遅くなった…寝てるのか？」



そりゃもう丑満時だしなぁ、と苦笑が溢れる

明日改めて聞くか…なんて思いながら
ふとテーブルに小さな紙切れを見付けた




「にゃん娘喫茶？」



明らかに怪しいキャッチフレーズのそれに
クラりと小さな眩暈がする




「ホォー…」



まさかここで働く気なのか



すやすやソファで呑気に眠りこける妹に

絶対分かってないだろ、と大きな溜息が漏れた

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