【降谷零】お兄ちゃんって呼ばないで【名探偵コナン】

Siblings：05 ページ6

「Aおはよー」

「おはよ蘭ちゃん」

「はよー…って何見てんの？」

「あ、園子ちゃんもおはよう。求人誌だよ」



朝早い兄の出勤を見送った後、時間を持て余して仕方がないので他生徒より先に登校し席に座る

ぞろぞろ教室に生徒が集まってくる頃
自席に求人誌を広げ物色する私に声が掛けられた



「バイトするの？」


ストレートな長髪に
朗らかな雰囲気の彼女は毛利蘭ちゃん

清楚な見た目に反して実は空手部の主将だったり
結構パワフルな一面も持ち合わせている



「うん…やっぱお小遣い貰うだけじゃダメかなって」

「いいじゃない、親の脛齧れる間は人生の花よ」



「いやあんたの場合兄の脛か」とケタケタ笑いながら
凄い事を豪語するこの少女の名は鈴木園子ちゃん


鈴木財閥のお嬢様ならではの発言に、「それもどうかと思うよ…」というツッコミは意味を成さなかった



因みに2人には素敵な彼氏が居て
悠々と恋愛を楽しむ姿をちょっぴり羨んでみたり



「ほんと真面目よね〜」

「お兄さんはこのこと知ってるの？」



うーん、と案件を並べて頭を捻っていると

園子ちゃんには何故か感心され
蘭ちゃんからは兄のことを聞かれた



「一応伝えてはいるんだけど…」

「だけど？」



夜勤は駄目、人前に出る仕事も駄目

お酒を扱う所も駄目で
男性の出入りが多いお店はもっと駄目


とにかくあれこれ制限が多く、ダメな事ばかりで働かせる気はあるのか問いたい



「や…なんでもない」



…流石に過保護がすぎるよお兄ちゃん


たはは、と乾いた笑みを返せば
案の定蘭ちゃんは頭にクエスチョンマークを浮かべた


それから間も無く園子ちゃんが唐突に「そういえば！」と閃いたように両手を叩く



「私、良いツテ知ってるわよ」

「えっほんと？」

「この前お店経営してる知り合いが人手不足だって嘆いてたトコなのよ。そこ制服も可愛いし、1回行ってみたら？」



何だかヤケに推しが強い気もするけど
そういう話なら試しに応募してみようかな？




「はい、コレ名刺ね」

「あっありがとう、帰って電話してみるよ」



『にゃん娘喫茶』と子供らしいロゴで書かれた文字に、蘭ちゃんは「園子…」と苦笑を漏らす

それに園子ちゃんは「上客揃いだし平気よ」なんて戯けてみせるが、どういう事だろう




「可愛い名刺だね。猫カフェ？」

「まぁまぁ、いい出会いがあるコト祈ってるわよ」


何か良く分からない励ましを受けたが
取り敢えず彼女の人脈は広いんだなと感心した

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