【降谷零】お兄ちゃんって呼ばないで【名探偵コナン】

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「早く帰らなきゃ…」


急いでメイド服から制服に着替えた後
身を潜めながら裏口を出て足早に歩道を歩く

怒り心頭な兄に見つかれば即お説教コースは免れないので、しっかり辺りを見渡す必要がありそうだ


なんて、慎重に足を進めても所詮は素人




「ホォー…兄を差し置いて帰るとは、いい度胸だな」

「れ、零にぃ…」



道すがら電柱の影に隠れるように歩いていたら

いつの間に後を付けていたのか、背後からポンっと肩を叩かれ私はピタリと歩みを止めた


詰まる所、現役警官の目を欺くのは不可能だった



「何処に行くんだ？」

「…おうちに帰ろうかなと」

「奇遇だな俺もだ。車も出してあるし、乗るか？」

「やっ、わ、私は歩いて帰るよ」

「あぁすまない…言い方を間違えた。 乗れ」

「アッはい」



何なの結局連行する気だったじゃん!!

けれど無言で腕を引く彼に口を挟む事は愚か、逆らうなんて出来る筈もなく黙って付いて行くしかない


そうして駐車場に着けば目の前には見慣れたRX-7
兄の愛車とする白のスポーツカーが停められていた



「わざわざコレで来たの…？」

「妹がどこの馬の骨か知れない男と居るなんざ想像したら、むしゃくしゃしてな」



「早めに案件切り上げて来たんだ」と恨めしげに鋭い眼光を飛ばされ、思わず背筋が縮こまる



そんな恐怖も束の間

兄は私の元へ歩み寄り
所謂お姫様だっこで抱き上げて


「えっなに、」と
訳が分からず狼狽える内に助手席へ放り込まれた



背中に軽い衝撃が走るも、存外痛みは無いので
彼なりに配慮してくれたのだろうか






「お兄ちゃん…？」


バタン、と少し乱雑にドアを閉め
兄も運転席に乗車するが一向に発進する気配はない

それどころか仕切りに此方を見つめるばかりで
ずっと押し黙っている



「ねぇ、帰らないの？」

「…A」

「なに？…わっ」



射抜く様な瞳に耐えられず
若干の気まずさから兄の腕を揺すろうとすれば

逆に私の腕が捉われ
トンっと肩を押して倒されてしまう


次いでグイッと上を向かされて
美しい翡翠色の玉が視界一杯に広がる




「んッ…」



見惚れる暇など与えられずに
一つ、貪るような口付けが落とされた

そのまま私の唇をこじ開け
いとも容易く口内への侵入を許してしまう



「まっ、て…おにぃちゃ、」

「待たない」



ゆっくり助手席のシートが下げられ
気付けば兄に馬乗りにされている

バクバクと鼓動が高まる中
掠れた声で名を呼ばれ、ゾクリと全身が粟立った

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