目覚めた能力、出会うべき者たち ページ15
宿屋の手伝いも手慣れてきた頃、村の外からも客が来るようになった。
『宿屋に綺麗な女性がいる』……なんて噂が流れていたらしい。
近くの町や村から時々足を運ぶ人や、観光がてらに来る人もいる。
おかげで宿屋は昼夜問わず忙しくなった。
ミキ)…………はぁ…………
疲れた…………
昼間の混雑を終えて、ようやく休める……
食堂のカウンター席に座り、一つため息をついた。
女将)お疲れさん。
ミキ)なんでこんなに忙しくなったのー………
誰よ、変な噂流したのー…………
女将)悪いね。
村の連中、あんたのこと気に入ってるみたいでね……
手際もいいし、気配れるからって。
ミキ)目で見えるんだもん………
そりゃ、気になってやっちゃうよ。
女将)だからじゃないかい？
あんた、隅々まで見てるみたいだしね。
ミキ)まぁ……そういう風に染み着いてるからねぇ………
女将)ところで、泉へは行かないのかい？
ミキ)あっ……！
行ってきます！
女将)夕方には戻るんだよー！
ミキ)はぁい！
返事をしながら、走って宿屋を出る。
泉への道を走るミキを見て、村人が声をかける。
男性)お、お嬢ちゃん！
また泉へ行くのかい？
物好きだねぇ……
ミキ)あそこ、好きなんです！
男性)走ってて転ぶなよー！
ミキ)大丈夫ですー！
背中から村の人の笑い声がする。
ミキが泉へ通うのには、理由があった。
宿屋の手伝いを始めた数日、何度も泉へ行く度に気になっていたことがあった。
それは、泉の中が『汚い』ことだ。
木の枝や大きな石などが泉のそこかしこに落ちていて、まったくと言っていいほど手入れがされていなかった。
それが気になってしまい、宿屋の休み時間を使って毎日綺麗にしに来てるのだ。
ミキ)……よし、やるぞ………
ブーツを脱ぎ、スカートが濡れないように気をつけながら、泉の中へ入る。
ふくらはぎ辺りまでの深さがある浅い泉だが、あの日以来、泉の水はとても澄んでいて綺麗だった。
ミキ(今は、こんなことくらいしか出来ないけど……泉が綺麗になったら、見に来てくれる人も出るかもしれない。
そうすれば、村ももっと賑やかになると思う。)
些細な、とても小さなこと。
でも、あの日の言葉が、ずっと引っかかっていた。
『村に残る者たち』……それが、誰のことかはわからない。
助けを求めてるのなら…助けてあげたい。
そうして毎日、泉へ来てはこうして片付けている。
時々何かの骨を拾ったりもするが、近くへ埋めている。
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レスタ(プロフ) - コメントありがとうございます。そう言ってもらえてよかったです！皆さん、読んでくれるのはすごくありがたいのですが、やっぱり一言もらえると助かります。本当にありがとうございます。 (2020年1月29日 18時) (
レス) id: 3cd98c2f43 (このIDを非表示/違反報告)
シャル♪黒猫愛しすぎてヤバイ(プロフ) - 小説拝見させていただきました。転生ものあまり読んだことはなかったのですが、とても面白かったです！主人公ちゃんがいても全然違和感無かったし、なにより文章の書き方が上手い！！ (2020年1月29日 18時) (レス) id: 6e2bf13c08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レスタ | 作成日時：2019年6月17日 3時
