#110 私を取り巻くこの環境は、 ページ10
やれ本日の一大イベントが終わった、と隠れ家に戻った私が一人掛けのソファに腰掛けた早々、セブルスがバンと隠れ家の中に入ってきて私の前に仁王立ちした。
…十中八九さっきのぼや騒ぎ、火元は私だって気付いてるんだろうなー…。
「師匠」
「ハイ」
「以前から考えていたことがあります」
「……考えていたこと?」
てっきりさっきの私の行動に対するお説教だと思っていたから、私は本当に不思議がる声で彼の言葉を反復してしまった。
彼の表情を見ても、怒っているだとか呆れているだとかではなく、どこか…焦っているように思える。
「貴方が最古の魔法使いであることに関して。秘密の守人をお立てください」
「………そういう話か」
「あの人が貴方の正体を知れば一大事です。貴方は、ダンブルドアが用意した切り札なんです」
「……忠誠の術は守人に責任を強いる行為だ。私は、好かない」
「好く好かないの問題ではない!!貴方の身の安全も、或いはホグワーツの今後さえも左右することなんだ!!!」
──セブルスの苛立ちが手に取るように分かった。義理堅く忠誠心の強いセブルスが、私に対して丁寧に振る舞うのをやめた。
肩を怒らせて拳を握っている。彼が声を荒げることはそもそも珍しい。
「どうせ…どうせ貴方は、私達に教えることを教えればいっそ奴を道連れに死んでもいいとさえ考えている」
「……察しが良いな。」
「ふざけるな!!!」
ビリッと、セブルスから魔力の圧が掛かった。私がピーブスに怒鳴り散らしたときによく似た圧力。
思わず呆気にとられた。これは意識して出せるものではない、では、彼は。心の底から、本当に。
「ッ……私達が。貴方の魔法を学んであわよくばそれを継いでくれれば。それで我々が誰かを救うことが出来たなら貴方の存在も無意味ではなかったと?勝手に満足して死ぬとでも言うのか…!」
「…セブルス」
「貴方の甘さで我々を絡め取っておきながら。散々我々をご自身に
気付いていたのか。
彼の叫び混じりの指摘に、私は脱力してソファに凭れ掛かった。
彼は私を親の敵でも見るような目で睨み付けてくる。その眼差しはとても鋭く、重たい。
……私がホグワーツに入学して三ヶ月ほど。
まだ、三ヶ月だ。
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葵 - とっても面白いです!更新される日を待ってます! (2023年5月5日 22時) (レス) @page35 id: 1e793d26dd (このIDを非表示/違反報告)
レイ - めちゃくちゃ好きです!応援しています! (2023年4月19日 15時) (レス) @page35 id: 58fc769308 (このIDを非表示/違反報告)
天鬼雷壊(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです。プライベートのことなどでお忙しいとも思いますが、更新するのを楽しみに待っています! (2023年4月6日 18時) (レス) @page35 id: e391e268f1 (このIDを非表示/違反報告)
Aoiro - 失礼します!とても面白く読ませていただきました。続きが気になります。更新してくださる事を心より楽しみにしています! (2022年9月20日 23時) (レス) @page35 id: 5f332b141b (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 失礼します、コメントのいる方が仰っているようにとっても面白い作品で魅力されました。これは一読者としての意見と我儘ですが、更新してくださる日が来る事を心の底から楽しにみ待っています! (2021年12月29日 3時) (レス) @page35 id: 2224f94912 (このIDを非表示/違反報告)
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