#102 敵は近くにいる ページ2
「…そう言えばさ、兄さん」
「ん？」
隠れ家のリビングで寛いでいる最中、ふとハリーが話し掛けてくる。本の文字を追い掛けていた視線を彼に向けると、彼は少し口籠もりつつ言葉を続けた。
「前から一度確認したかったんだけど…あの、クィリナス・クィレル先生」
「闇の魔術に対する防衛術？」
「うん。……あの人、何か…憑いてる、よね？」
「……そうか。もうそれが感じ取れるくらいまで成長したか」
ぱたん、と本を閉じて、私は掛けていた眼鏡を外す。この場には今は私と子供達しかいない。ドラコや双子達も奴のそれには気付いていたようで、こちらに目を向けてきた。
「……確かにあいつには憑いている。が、何も、するな。あれは今のお前達の手に負えるものじゃない」
「……あれは、何なの？」
「恐ろしいものだよ、とても。今もアルバスとセブルスが監視を続けている」
あれは悪の塊のようなものだ、と私は続ける。
「出来うる限り接触するな。あれは生半可な魔法使いでは手に負えんものだ、我々はまず、対抗するために力を付ける必要がある」
「……対抗する、為に…」
「……アレは。いずれ、戦わなければならないものなんだな？」
うっすらとでも察したのか、ドラコの表情もどこか硬い。ハリーはごくりと息を飲み、私の返答を待っている。フレッドとジョージは顔を見合わせていた。
私は彼らの様子に目を細め、頷く。
「必ず、相対する日が訪れる。」
「…兄さんでも、勝てないもの？」
「……勝率は五分五分。ただ、私達にはホグワーツの生徒を守るという任がある。庇いながら戦ったところで、恐らくは…勝てない」
「そんな…！」
「いや、今の奴にこちらに攻め込む余力はない。クィレルに寄生して辛うじて生き延びているようなもの、だが…あれを壊したところで本当の破壊にはならない。私達が勘付いていると知れば、事を急いて強引な手段に及ぶ可能性がある。」
我々がすべきは、あれの監視を続けながらなるべく早く、力を付けること。
「悟られるな。悟らせるな。自然に振る舞え──私達はただの、ホグワーツの生徒なのだから。」
私も自らに言い聞かせるように、そうして彼らに言い含めるように口にする。
彼らは神妙な面持ちで頷き、私の言葉を了承した。
「…安心おし。戦うのはお前達だけではない、ホグワーツの先生や生徒達もいる。そして何より。
お前達には、
易々と傷付けさせてなるものか。
#103 私はお前達と共に→←#101 スニッチに懐かれる能力（？）
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葵 - とっても面白いです！更新される日を待ってます！ (2023年5月5日 22時) (
レス) @page35 id: 1e793d26dd (このIDを非表示/違反報告)
レイ - めちゃくちゃ好きです！応援しています！ (2023年4月19日 15時) (レス) @page35 id: 58fc769308 (このIDを非表示/違反報告)
天鬼雷壊(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです。プライベートのことなどでお忙しいとも思いますが、更新するのを楽しみに待っています！ (2023年4月6日 18時) (レス) @page35 id: e391e268f1 (このIDを非表示/違反報告)
Aoiro - 失礼します！とても面白く読ませていただきました。続きが気になります。更新してくださる事を心より楽しみにしています！ (2022年9月20日 23時) (レス) @page35 id: 5f332b141b (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 失礼します、コメントのいる方が仰っているようにとっても面白い作品で魅力されました。これは一読者としての意見と我儘ですが、更新してくださる日が来る事を心の底から楽しにみ待っています！ (2021年12月29日 3時) (レス) @page35 id: 2224f94912 (このIDを非表示/違反報告)
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