#100 これはきっと、奇跡なんだ。 ページ50
一人で中庭にある木の根元に寝転んで、吹き抜ける風と太陽の光を浴びる。
私は、長い年月を生きてきた。それに応じて色んな知識を身に付けて、だから私は今、彼らの、私の愛弟子達の師匠の座を担っている。能力だけはあった。
能力しかなかった。他者を恐れて他者を避け、自分しかいないという長年に渡るその環境は、他者に認めてもらえるという、その出来事さえを退けて、私は自分に自信を持つことが出来なかった。
体が大人でも、中身が子供であるにも程がある。増して私は、ドラコに指摘されるまでそれにさえ気付かなかったんだ。なんて未熟者なんだろう。とんだちぐはぐだ。
「A」
私を呼んだのは、見覚えのある女の子だった。
ふわふわとした長い髪。きりっとした眼差し。
「グレンジャー」
そこに立っていたのは、あの時に泣いていたグリフィンドール…ハーマイオニー・グレンジャーだった。私が上体を起こして彼女を見上げると、彼女はどこか緊張した面持ちでこほん、と咳払いをひとつ、私の前に腰を降ろす。
何を言おうか、何から言い出そうか。迷っている様子を覗かせる彼女は、けれど、覚悟を決めたのか私と顔を見合わせた。
「…ハリーとロンから聞いたの。その…わたしと仲直りをするように、説得してくれたって」
「ああ、うん。まあ、ね」
「本当はもっと早くにお礼を言いたかったんだけど…貴方は貴方で大変なことがあったし、今の今まで、お礼、言いそびれちゃってて」
「気にしなくていいのに。私が勝手にやったことで、私がやりたくてやったことだ」
「そうはいかないわよ！だってわたし、貴方のおかげで彼らと仲直りできたんだもの。…ありがとう、A。話したこともなかったのに、わたしのことを分かってくれて」
「…私と君は、なんだか似ている気がしてね。人への接し方が、どこか不器用なところとか」
からかうように笑って言えば彼女は少し不満げにしていたけれど、それでも否定できなかったのかため息をひとつ、それから気分を切り替えてまた、私を見る。
「…わたしの接し方が、不器用なのは認めるわ。…でも、貴方がそうだとはとても思えない」
「私も、そうなんだよ。…人に嫌われるのが怖くて、人と仲良くなるのを避けている」
「貴方が？ああ、でも、待って…確かに、貴方はいつも同じ人と一緒にいるわ。マルフォイ、ハリー、それから、ロンのお兄さん」
「彼らはね、特例なんだ。不思議なほど、私のことを分かってくれるんだ──」
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エトーカ(プロフ) - 白猫さん» コメントありがとうございます！親世代に関しては断片的なネタは一応考えているので、短編のような形で書いてみようと思います。メインがありますのですぐの更新はお約束できかねますが、少々お待ちいただければ幸いです。ありがとうございました！ (2018年4月12日 16時) (
レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 続編おめでとうございます!! できればで、いいのですが夢主の親世代の話も読んでみたいです! (2018年4月12日 15時) (レス) id: bad360ec79 (このIDを非表示/違反報告)
エトーカ(プロフ) - 殺覇さん» お待たせいたしました、ありがとうございます！コメントしていただけるのとても嬉しいです、頑張りますっ！ (2018年4月11日 17時) (レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
殺覇(プロフ) - 待っていました！やっぱりとても面白いです！更新頑張ってください (2018年4月11日 17時) (レス) id: fdc91a3e02 (このIDを非表示/違反報告)
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