#75 でも脳筋は嫌です ページ25
ぺたぺたとドラコは甲斐甲斐しく私に傷薬を塗ってくれる。前も塗って、とふざけて甘えても、彼は呆れたようにため息を吐き出すだけで私の甘えに応じてくれる。
「…なあ、今更だけどこれ、君の魔法で治すことは出来ないのか？」
「んー。出来なくはないけど、こうして薬で治すことにも意味はあるんだよ」
「意味？」
「あっという間に治っちゃうものは、その記憶に残りにくい。だから、時間を掛けて治すことで傷を実感して、その記憶を刻み込むの。“この傷はあの時に付いた傷だ、二度はこの傷は受けるまい”。…まあそう上手くはいかないけど、記憶に残っていないよりはね」
「……なるほど」
「自然治癒も捨てがたいけど、あんまり長引くと愛弟子に心配されるからねえ」
「僕に心配させておいていけしゃあしゃあと」
「ごめんて」
ドラコが一日に二回も見舞いに来てくれるとは思ってなくて、つい。
…なんて言ったら怒られるかな。いやでも、基本的には一日一回の見舞いが普通、だよね？それとも友人関係とかになると意外とまめに訪ねたりするものなの？
…そもそも病院じゃなくて医務室だから普通より来やすいとか？
「……思っていたより君が元気そうで良かった。君がそう簡単に死ぬとは思っちゃいなかったが、…流石に肝が冷えたからな」
「…それは、ごめん。」
「でも。君は強くなりたいと言うが、僕は…君自身が思っているより、君は強い人間だと思う。」
「、…そうかな？」
「ああ。自分の弱さを認められる、自分の弱さに立ち向かえる…君が出来ないと諦めないのは、君自身に相応の勇気があったからだろう」
「……勇気。…勇気、かあ。はは、そんなこと初めて言われたかも。」
ドラコはなんだか、私に新鮮な言葉をくれる。アルバスのような私を労る言葉ではない、ただ、私のあるがままを表現したような、そんな剥き出しの言葉。
ツンデレのくせに直球な言葉を選ぶとは、なんて敢えて彼に伝えたら、また彼にどつかれてしまうだろうか。私は頬を緩めた。
「…解決方法が些か短絡的で脳筋だが」
「誰が脳みそまで筋肉だこら」
「心を強くするのに何で戦う必要があるんだよ。もっと他にも方法があっただろう」
「敵を恐れずに戦うのも心を強くする方法なんだよ！」
「どうせめんどくさがって手っ取り早い方法を選んだんだろう」
「うぐっ」
それは、否定しない。私は元々ややこしいものを好まない。
…そういう意味では、私は短絡思考なんだろうか。
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エトーカ(プロフ) - 白猫さん» コメントありがとうございます！親世代に関しては断片的なネタは一応考えているので、短編のような形で書いてみようと思います。メインがありますのですぐの更新はお約束できかねますが、少々お待ちいただければ幸いです。ありがとうございました！ (2018年4月12日 16時) (
レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 続編おめでとうございます!! できればで、いいのですが夢主の親世代の話も読んでみたいです! (2018年4月12日 15時) (レス) id: bad360ec79 (このIDを非表示/違反報告)
エトーカ(プロフ) - 殺覇さん» お待たせいたしました、ありがとうございます！コメントしていただけるのとても嬉しいです、頑張りますっ！ (2018年4月11日 17時) (レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
殺覇(プロフ) - 待っていました！やっぱりとても面白いです！更新頑張ってください (2018年4月11日 17時) (レス) id: fdc91a3e02 (このIDを非表示/違反報告)
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