エテルネル (ページ3)

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｢長谷川先輩！｣

名前が呼ばれたので振り返る。
そこには玉狛のオペレーターの栞ちゃんの姿。

『栞ちゃん。どうしたの？』

足を止め、先程とは逆の方向に足を進める。
パタパタと近づいてくる栞ちゃんの手にはタブレットが握られている。

｢ちょっと聞きたいことがあって…
今時間いいですか？｣

『うん。私で良ければ』

栞ちゃんはとっても優秀な後輩。
もう既に、オペレーションの腕は栞ちゃんの方が上かもしれない。

『そこの操作、この間のアップデートで変わったよね。
慣れればアプデ後の方が使いやすいから、ちょっと頑張ってみて。

あ、こっちの操作はね…』

オペレーションで使われるシステムは、日々進化している。
大半はオペレーターからの指摘や希望などによるものだが、稀に隊員からの希望によって変わることがある。

アップデートしたシステムは各オペレーターに事細かに説明されるが、今回のように大幅に変わった場合は先輩や周りの知恵を借りたりする。

｢なるほど。
ありがとうございます！｣

栞ちゃんは悩みが解決したのか、清々しい笑顔でお礼をくれる。
じゃあね、と言って別れようとした時。
栞ちゃんが思い出したように私を引き止める。

｢あの、迅さんと喧嘩しましたか？｣

迅、という名前が出てき少し驚く。
同じ支部の仲間なのだから、話の途中に出てきても何も問題はないのだが。

『どうして？』

｢この間迅さんが本部に行ってから、様子がおかしくて…｣

最近本部では見かけてない。
最後に見かけたのは、あの日。

様子がおかしいというのは、どういうことだろうか。
そんなに私からの告白が苦痛だったのか。

『そんなに嫌そうな顔してた？』

｢え？嫌そうな顔って言うより、悲しそうでしたよ。
だからてっきり長谷川先輩と喧嘩したんだと｣

悲しそう？
私に告白されて、悲しかったっていうこと。？

栞ちゃんの顔を見る限り、原因は私だって思っていそう。
もしかすると、栞ちゃん以外の玉狛支部の人たちもそう思っているんだろうか。

『悲しむ様なことはしてないと思うんだけど…
ごめん、ちょっとわかんないや』

栞ちゃんと別れてからも、考える。
私はあなたが悲しむ様なことはしていない。
あの時、告白した私が悪いんだろうか。