お前はあたし、あたしはお前 ページ44
セ「……やだ………こんなの嫌だ………」
頭痛と恐怖が頭の回転を麻痺させていく。
全身の力が、というより感覚が無くなってその場に座り込んでしまった。
動けない。
顔を、鏡からそらせない。
…
その時
鏡に映った"彼女"が
ニタリと口角をあげた
セ「____…………ッひ」
アタシハ笑ッテナイノニ
何故貴女ハ、笑ッテイルノ?
貴女ハアタシジャナイ……誰カ
セ「……………貴女……誰………」
カの鳴く声より小さな声で問うと、しゃべるはずのない"彼女"は口を開いた。
?『アハハハハ………』
セ「((ビクンッ))」
この声は聞き覚えがあった。
神前決闘の時、殺気と共に口から零れた声。
あたしの声に似ていて、あたしの声にはない冷たさを含む声だ。
?『ハハッ……恐ろしいのか、あたしの事が…』
セ「(恐ろしくないわけがない。お前が……あたしの中にいる"何か"なのだろう)」
?『ふん………声が出ぬのな。まだ目覚めるには早すぎたか。手のかかる小娘め』
質問に答えず、笑い続ける"彼女"。
目覚める?
早すぎた?
?『分からなくて良い。今はまだ知る時ではないのだから』
セ「(質問に答えろ!お前は何者だ?何故あたしの中にいた?………この痛みも熱もお前が仕組んだ事なのか!?)」
?『ん〜………どうだろうな?』
セ「(とぼけるなッ!!!)」
沸き上がる恐怖を圧し殺し、心の中で叫んだ。
出ていけ!
出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ出ていけ!!!
あたしの中から出ていけ!!!
もうお前のせいで不安になるのも痛みを感じるのも嫌なんだ!もうたくさんだ!!
出ていけ!!!
?『……出てはいかぬよ。お前が生を終えるまではな』
セ「___ッ!!?」
それは…………死ぬまで、ということか?
死ぬまでお前はあたしの中に………
?『今はまだ詳しいことを教えてやれぬ。……が、ひとつだけ伝えておこう』
絶望のあまり足元が凍りつくような感覚に襲われているあたしに、"彼女"は小さな声でささやいた。
?『…あたしはお前。お前はあたし。あたしはお前の中に住まう…………"セレン"という名の別人格だ……………覚えておけ、セレン』
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ニーサc(プロフ) - うぅ写真今までのやつもこれも見れない…(´;ω;`) (2018年8月29日 17時) (レス) id: f6874ea2f4 (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - 咲柄 沖さん» ありがとうございます!続編どんどん書いていきますよ!お楽しみにっ! (2016年5月16日 20時) (レス) id: 11427c146d (このIDを非表示/違反報告)
咲柄 沖(プロフ) - 咲きさん!いつも楽しく読ませてもらっております。この度は7章突入おめでとうございます。ハラハラドキドキ更新がひたすら来るのを待ちわびていました。勿論続編も読ませて頂きます。これからも更新頑張ってください (2016年5月15日 22時) (レス) id: 7ae002d76e (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - ダ「頼むぞジーニアス……師として顔向けできん」 (2016年5月15日 19時) (レス) id: 11427c146d (このIDを非表示/違反報告)
ワイバーン(プロフ) - ジ「分かりました。言わないでおきましょう。クスクス」 (2016年5月15日 5時) (レス) id: 0ab8e72630 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲き | 作成日時:2016年4月10日 19時