猫の正体 ページ28
言い様のない不安。
今まで味わったことのない恐怖。
徐々に強まっていく痛み。
サ「___ディアル!?大丈夫ですの!?」
セ「っ!サリーマ………ラジェンドラ王子…」
ラ「ディアル殿!いかがなされた。顔が真っ青だぞ」
サリーマとラジェンドラ、シンドゥラ将軍が数人が部屋に入ってきた。
ぽたぽたと石床に汗が落ちる。
蒼白な顔と裏腹に、その額や首筋には汗が吹き出していた。
腕や足は冷えきっている。なのに身体の芯は焼けつくように熱い。
セ「(………おかしい。…この熱、この頭痛は……一体、何だ…………)」
戦の後のようなひどい疲労感を感じ、彼等にうながされるまま壁に寄りかかった。
ラ「よくぞ奴を捕まえてくれた。感謝する……後で医者を手配しよう」
…今すぐ手配してくれよ。
ラ「サリーマ殿も。よく決心してくれたな」
サ「いいえ。後の始末はお任せしてよろしいですね、殿下」
ラ「無論だ」
満面の笑みを浮かべたまま、ラジェンドラは猫の体を軽く蹴った。
「ぅ……………ぅう……」
ラ「やあお目覚めかな?兄上」
「ッ!!!?」
猫=ガーデーヴィは上半身を起こし、あたしとサリーマとラジェンドラを交互に見る。
状況についてこれないと言いたげな顔が、しばらくして醜く歪められた。
ガ「どういうつもりだ!!まさかこの俺をラジェンドラの犬めに売ったのではあるまいなサリーマ!!」
サ「ええその通りです」
ガ「ッこの売女め!!よくも夫である俺を裏切りおったな!!恥を知れ!!!」
バシィーーーーーーーーンッ!!
サリーマの手がガーデーヴィの頬を強く打った。
ガ「なっ…何をするかーーーっ!!」
サ「何をするかですって?風が頬をかすめただけではありませんの、廃王子様。何ならそこにいる
ガ「ッな」
おい…勘弁してくれサリーマ。さらに気分が悪くなる。
あたしが本気で平手打ちしたら多分変形するぞ、そいつの顔。
ガッ
ラ「!」
サ「売女………裏切り……?それを、貴方が言いますの………?」
震える手でサリーマはガーデーヴィのターバンを掴みあげた。
物静かな彼女が珍しく興奮している。
小麦色の頬に涙がつたった。
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ニーサc(プロフ) - うぅ写真今までのやつもこれも見れない…(´;ω;`) (2018年8月29日 17時) (レス) id: f6874ea2f4 (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - 咲柄 沖さん» ありがとうございます!続編どんどん書いていきますよ!お楽しみにっ! (2016年5月16日 20時) (レス) id: 11427c146d (このIDを非表示/違反報告)
咲柄 沖(プロフ) - 咲きさん!いつも楽しく読ませてもらっております。この度は7章突入おめでとうございます。ハラハラドキドキ更新がひたすら来るのを待ちわびていました。勿論続編も読ませて頂きます。これからも更新頑張ってください (2016年5月15日 22時) (レス) id: 7ae002d76e (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - ダ「頼むぞジーニアス……師として顔向けできん」 (2016年5月15日 19時) (レス) id: 11427c146d (このIDを非表示/違反報告)
ワイバーン(プロフ) - ジ「分かりました。言わないでおきましょう。クスクス」 (2016年5月15日 5時) (レス) id: 0ab8e72630 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲き | 作成日時:2016年4月10日 19時