知らない自分 ページ15
場内は再び騒がしさを取り戻した。
セ「……サリーマ。あたし、今何を…?」
サ「…………私もよく分かりません。ディアル、貴女大丈夫ですの?顔が真っ青ですわ」
セ「…………」
ガクガクと震えるセレン。
セ「(今、あたしが………あたしじゃなくなっていた)」
自分ではない何かに
_____そう、まるで
コノ身体ヲ乗ッ取ッラレタヨウナ
…
メ「セレン様っ!やっと見つけた!」
アル「ってジャスワント!?何であんたがここにいるのさ!!」
メルシィとアルフリードが息を切らして駆けてきた。
メ「セレン様!セレン様!!しっかりしてください!!」
肩に置かれた小さな手を引き、セレンはメルシィを抱きしめる。
メ「セレッ「メルシィ怖いよ」……え」
セ「今の何………っあたしの殺気………?違う。違う、あれはあたしのじゃない………あたしの声はあんなに冷たくないっ!」
アル「ちょっ、大丈夫……!?」
セ「アルフリード……今のはあたしの殺気なの?あたしがあたしじゃなかった………あたしじゃ、なかったんだよ………っ」
セレンは怯えていた。
ほんの一瞬の間、"自分が知らぬ自分"になったから。
目覚めてはいけない何かが、目覚めてしまった気がしたから。
アル「さっきのはあたし達もよく分からない。でも……今のあんたは、あたし達の知るセレンだよ。しっかりして」
メ「そうですよ、しっかりしてください。今は決闘の結末を見届ける時です」
メルシィに抱きついたまま、セレンは視線を闘技場に向けた。
じりじりと距離を取り合う二人。
セ「(お願い…勝って早くあたしの名前を呼んで。早く、早く貴方の声が聞きたい…)」
…早くあたしを、安心させて…____
その頃、特客席では
カ「……
ガ「……………」
マ「殿下!お気を確かに!」
椅子の背にもたれかかるガーデーヴィの額や首筋は、汗でびしょびしょに濡れている。
殺気の的になった彼は、声さえ出なくなっていた。
シ「ヘッ、ざまぁ。どんな結果になろうと結局殺されるんだよ、あんたは」
さらに顔を蒼白にさせた。
あの黒騎士を殺したら、次期国王に定められたとしても…
即位する前に自分の首は物理的に飛ぶだろう。
どちらにしろ、死は目の前にある。
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ニーサc(プロフ) - うぅ写真今までのやつもこれも見れない…(´;ω;`) (2018年8月29日 17時) (レス) id: f6874ea2f4 (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - 咲柄 沖さん» ありがとうございます!続編どんどん書いていきますよ!お楽しみにっ! (2016年5月16日 20時) (レス) id: 11427c146d (このIDを非表示/違反報告)
咲柄 沖(プロフ) - 咲きさん!いつも楽しく読ませてもらっております。この度は7章突入おめでとうございます。ハラハラドキドキ更新がひたすら来るのを待ちわびていました。勿論続編も読ませて頂きます。これからも更新頑張ってください (2016年5月15日 22時) (レス) id: 7ae002d76e (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - ダ「頼むぞジーニアス……師として顔向けできん」 (2016年5月15日 19時) (レス) id: 11427c146d (このIDを非表示/違反報告)
ワイバーン(プロフ) - ジ「分かりました。言わないでおきましょう。クスクス」 (2016年5月15日 5時) (レス) id: 0ab8e72630 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲き | 作成日時:2016年4月10日 19時