第二十八話 ページ28
朝一番に美容室について
真っ先に予約帳を確認する。
今日は指名が入ってるかな。
リストを確認して
すっかり見慣れた名前を見つけた。
壮馬君の言葉で自分の気持ちを
自覚してしまったから
その名前を見るだけで緊張する。
相変わらず私を指名してくれていて
浮かれていた気持ちを抑えて
朝の準備に取り掛かる。
・
・
来客を知らせるベルが鳴って
ドアが勢いよく開かれる。
「こんにちは!予約してた江口です」
やりかけていた備品のチェックを終えて
拓也さんのカバンを預かる。
「昨日はごめんね!
急に用事入っちゃって…
たまたま空いてた壮馬にお願いしたんだけど…」
拓也さんはばれてないって思っているみたいだから私もそれに話を合わせる。
拓也さんはあえて昨日のことには触れないみたいで何気ない話をしながらカットをする。
・
・
カットが終わってお会計に移ると
いつかのように先輩からカバンを渡される。
「今日はもうあがっていいよ」
時計を見ると閉店時間を過ぎていて
店長も帰っていいと言ってくれた。
『じゃあお言葉に甘えて…』
挨拶を済ませて外に出ると
江口さんが外で待っていてくれた。
「送っていくよ」
少し先を歩く拓也さんに
早足で追いついて隣に並ぶ。
一緒に歩くのは
カットするときとは違った緊張感があって
言葉が途切れると
昨日の壮馬君の言葉が思い出される。
意識しているのがばれないように
いつも通りを装って歩く。
・
・
「また今度ご飯行こうよ
昨日の埋め合わせさせて!」
『ぜひお願いします』
今度ご飯に行く時は
相談に乗ってもらおう
折角壮馬君に背中を押してもらったんだから。
マンションに入ると
いつものようにお礼のLINEをするため
スマホを手に持った。
途端に非通知から電話がかかってくる。
通話終了を押してもすぐにまたかかってきて
何度やっても同じだった。
このままじゃ頭がおかしくなる。
私はスマホの電源を切って
一瞬で疲れきってしまった体を
ベットに投げ出した。
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ちぃちゃん - すごく素敵なお話でキュンキュンしました・・! (2020年5月7日 10時) (レス) id: d5505982b6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - とっても面白くてドキドキしました!最高です!!作品名を見た瞬間、「あ、私これ好きww」ってすぐに気に入っちゃいましましたww (2017年7月2日 9時) (レス) id: 246cbbf759 (このIDを非表示/違反報告)
春菜(プロフ) - お疲れ様です!やっぱり、最高のお話でした!!最終話なんて、心臓が持たなかったですwこんなの初めて!!これからも頑張ってください!また読みます! (2017年7月2日 9時) (レス) id: cc7bae8682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ。(プロフ) - お疲れ様でした!通知来た瞬間読みました!素敵な小説ありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています! (2017年7月1日 23時) (レス) id: d39a9d04da (このIDを非表示/違反報告)
flower(プロフ) - コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!頑張ります! (2017年6月29日 23時) (レス) id: 1b5420c9a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:flower | 作成日時:2017年6月15日 19時