9. 勝負の行方 ページ9
Aside
そろそろ10分か。
兵長相手にずっと飛び回っている私は
もう体力の限界だった。
ﾊﾟｼｭｯ
アンカーを発射する音。
それと同時に
木の陰から兵長が飛び出してきた。
あの目は本気の目だ…。
兵長は刀を逆手に持ち帰ると
ガスを蒸かし、一気にスピードを上げ
攻撃を仕掛けてきた。
兵長の攻撃を
ギリギリのところで受け止めるが
力に耐えられず刀が弾き飛ばされてしまった。
『くっ…』
私の木刀は宙を舞う。
「終わりだ」
そう言った彼は
私の後ろに回り込み
思いきり腕を振り上げた。
私は次に来るであろう
衝撃に耐えるため
目をギュッと閉じた。
ﾄﾝｯ
想像していた衝撃はなく
兵長は私のうなじを
軽く叩いただけだった。
『え…』
私は地面に着いても
兵長の意外な行動に
暫く唖然としたままだった。
「A！聞いたよ。
掃除と休みを賭けたんだってね。」
突っ立ったままの私に
ハンジさんが駆け寄ってきた。
『はい、私が勝てば非番を貰えるはずでした』
「あのリヴァイと10分も激戦を繰り広げたんだ！
それだけでも凄いことだ。見事な立体機動だったよ。」
「技術はあっても体力は豆粒以下だがな」
ハンジさんの言葉に
被せるように
そう言ったのは
リヴァイ兵長。
兵長の顔から既に
疲れは消えていた。
『貴方と比べないでください』
私は兵長を睨み返した。
-会議室−
私は今、会議室の掃除中だ。
部屋の隅々まで徹底的に掃除しないと
兵長はオッケーしない。
おかげで夕食を食べ損ねた。
まあ、勝負に負けたのだから
仕方ないのだが。
『ふぅ、そろそろ終わりかな』
掃除も終わり
片づけをしていると
リヴァイ兵長が入ってきた。
「随分と時間がかかったな」
『当たり前でしょ。
この広い部屋を1人で掃除したんです。』
なんなんだこの人は。
文句を言うためにわざわざ来たのか。
私が不機嫌全開でいると
「ほらよ」
そう言って兵長は茶色い紙袋を私に投げる。
『なんですか、これ』
兵長は袋を投げつけると
私の質問も聞かずに出て行ってしまった。
袋を開けると
中にはパンと芋が。
『！…兵長…』
私は知っている。
貴方はとても不器用で
優しい人だということを。
貴方の不器用な優しさは
いつも不思議と
私の心を温かくしてくれるのだった。
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Ester(プロフ) - YUUKOさん» ありがとうございます！そう言ってもらえると嬉しいです。更新頑張ります！ (2019年7月31日 12時) (
レス) id: 3a0388d4ae (このIDを非表示/違反報告)
YUUKO - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。頑張って下さい！ (2019年7月30日 21時) (レス) id: 5afe16bc4a (このIDを非表示/違反報告)
Ester(プロフ) - リヴァイ好きさん» ありがとうございます、更新頑張ります！ (2019年7月19日 13時) (レス) id: 27b2c4c282 (このIDを非表示/違反報告)
リヴァイ好き - 面白い！！！！！ 続き楽しみにしてます 早く更新願っています (2019年7月18日 22時) (レス) id: dc53e000da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ester | 作成日時：2019年7月18日 5時
