17. 右手の温もり ページ17
Aside
私たち調査兵団は
巨人の捕獲に成功し
壁内へ帰還した。
今回は被害が少なかったといえ、
犠牲者が出ていることには
変わりなかった。
調査兵団本部に戻ると
リヴァイ兵長に「来い」
とだけ言われた私は
兵長の後ろを歩いていた。
勝手に行動したことを
怒られるんだろう。
でも私は後悔していない。
あの兵士達を助けるためには
最善の行動だったと思っている。
「A副官！」
私は兵士の中でも
まだ若手の部類に入るため
私のことを副官などと呼ぶのは
私より後に入った一部の兵士だけだ。
声を掛けられ振り返ると
今日助けた兵士2人が立っていた。
「今日はありがとうございました！
あの時、俺たちは
死を覚悟しました。
貴方は恩人です。
本当にありがとうございました！」
敬礼する2人。
敬礼されるのはまだ慣れない。
『私も…
貴方たちが生きてて良かった。』
私はそれだけ言うと
前を向いて歩き出した。
兵士長室に着くと
リヴァイ兵長は
棚から何か取り出し
ドカッとソファに座った。
「手を出せ」
私は訳も分からず
右手を差し出す。
兵長は私の手を掴むと
包帯を巻き始めた。
『…兵長？』
「今日は随分と派手に着地してたな」
そう言いながら包帯を巻く
兵長の手はとても優しい。
巨人を捕獲した時
私が屋根に突っ込んだの見てたのか。
だが、ああでもしなければ
今頃私は巨人と一緒に網の中だ。
『こんなのただのかすり傷です。
医務室にだって自分で行けます。』
「どうせお前のことだ。
他の負傷者を優先して
自分の傷は後回しにするんだろう。
だから俺がわざわざこうして
応急処置してやってんだろうが。」
『……』
言い返す言葉がなかった。
兵長は包帯を巻き終えると
そっと私の手を離した。
今まで感じていた温かさが消えていく。
『…ありがとうございます』
私は、
まだ手に残る彼の温もりに
名残惜しさを感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 379人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ester(プロフ) - YUUKOさん» ありがとうございます！そう言ってもらえると嬉しいです。更新頑張ります！ (2019年7月31日 12時) (
レス) id: 3a0388d4ae (このIDを非表示/違反報告)
YUUKO - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。頑張って下さい！ (2019年7月30日 21時) (レス) id: 5afe16bc4a (このIDを非表示/違反報告)
Ester(プロフ) - リヴァイ好きさん» ありがとうございます、更新頑張ります！ (2019年7月19日 13時) (レス) id: 27b2c4c282 (このIDを非表示/違反報告)
リヴァイ好き - 面白い！！！！！ 続き楽しみにしてます 早く更新願っています (2019年7月18日 22時) (レス) id: dc53e000da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ester | 作成日時：2019年7月18日 5時
