happyendがもう直ぐそこ ページ28
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こはくは瞳の奥にしょんぼりとした顔を浮かべている。
嫉妬、という名のほろり苦い気持ちを浮かべながら、こはくは下を見つめる。
「…面倒いなんてよく言うわ……」
溜息でも吐きたそうなこはくだが、必死に堪えている。
「おや、こはくん！どうぞ入ってください。どうしたのですか？そんな悔しそうな顔をして…」
こはくの声を聴いてか、司が玄関までやって来た。
「ありがとな坊！それじゃあ失礼するわ…」
赤いスニーカーを脱いで揃えると、こはくは司に案内されるがままに中へ入っていく。
「アンタAの従兄弟の…」
「桜河こはく言います。よろしくお願いします」
泉に気付かれたと同時に、こはくが礼をする。
「ここ座って良いぞ〜☆」
レオが猫を呼ぶように椅子をぽんぽんと叩く。こはくはその場所に嬉しそうに座る。
…
「A、怖い思いさせてごめん。全部わしが悪いんや。サクラの姉はんをきちんとわしも見張っとくべきやった。Aのために最前線で警戒しとくべきなんはわしやったのに……」
こはくは唇を噛み締めながらそんなことを言う。
誰も何も言わなかった。この事件は自分のせい、みんなそう信じていた。
A、司、こはくはきちんとサクラを見張って、気にかけるべきだった。
Knightsの面々はもっと前から、Aのメンタルや周りの状況を把握すればよかった。
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それだけだ。
「わしはAにアイドルになって欲しいんや…。絶対に。サクラの姉はんを蹴散らしてでもな」
こはくが小さく自信無さ気に話す。
先程まで司と泉が討論していた話題だ。それでも、2人とも口出しはしない。
こはくにとって姉が関係するデリケートな問題だからだ。
『…こはくに言われなくたって…やるよ…。こはくに言われなくたって、私…サクラねぇを蹴散らして、ESの女性アイドルのトップに君臨する。生意気なこと言っちゃったかもしれないけど。
それくらいの覚悟は……あるから』
Aの言葉を聞いて、みんなが顔を明るくする。
「A……！絶対に約束やで！！」
こはくが目を宝石のように輝かせて、頬を緩めて、少し興奮気味に、Aに小指を差し出す。
『うん、約束！』
Aも小指をそっと差し出した。
「happyendがもう直ぐそこです！頑張りますよみなさん！」
司がこはくとAを包むようにハグする。
それを見て、レオも、泉も、凛月も、嵐も、見守るように優しく微笑んだ。
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作者名：梓詩織 | 作成日時：2022年10月12日 21時
