43 ページ45
しばらく無言が続き
気まずい雰囲気を脱却しようと
声を発そうと思った時
「あのさ」
彼から声がかけられる
『は、はい』
「これ」
そう言って差し出されたのはスマートフォン
に映し出されるQRコード
『え?』
「これ追加して」
そう言われましても…
『スマホ持ってません』
「今どきソレは厳しいだろ」
『いや、勤務中なので』
「あ、そういうこと?」
と言うよりも
アイドルがオタクと連絡先を交換しようとしないでください…
ようやく顔を上げ彼をジトーっと見つめる
「何?」
『あなたアイドルですよね?私あなたのオタクなんですよ?分かってます?』
「分かってる」
『なら、こういうの辞めた方がいいと思います』
彼があまりにもはっきり言うから
私の言葉尻が弱くなる
''佐倉さん取れますかー?''
『はい佐倉取れます』
『すみません、仕事の連絡なので』
''勤務調整したので次のポジション交代行く前に一旦統括寄ってくださーい''
『かしこまりました』
マスターからのインカム
正直広瀬からインカムが飛んできてほっとした
ここから逃げれる
そう思った
『すみません。業務があるので私はこちらで失礼致します』
今度は彼の瞳をきちんと見て伝える
彼は少しだけ眉尻を下げて
「わかった。お仕事頑張ってね」
「また来るから」
そう言うと私の肩をポンと叩いて
Vエリアを後にした
110人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆき | 作成日時:2023年2月4日 21時