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警備員さんにお手数お掛けしたことを詫び
戻って頂いて大丈夫だと伝える

足早に彼の元へ近づきグッと腕を掴み
(本当はダメだけど)1番近いドアから従業員用通路に連れ込む


「大胆だね」

『な!?』


腕を離し一定の距離を開ける


『なんでこんなところに居るんですか!?』

「言ったじゃん、また来るって」

『それで本当に来ちゃうバカがどこに居ますか!』

「ここに居るじゃん」

「ていうか、人のことバカって中々言うね」


ニヤリを笑う彼に
やっちまった〜と心の中で頭を抱える


『何しに来たんですか?まさか観光ですか?』

「顔見に来たの」

『何故!?』

「ん〜、なんでだろうね」

「さくらってさ、段階踏まないと嫌だって言いそうじゃん?」

「だから、会いに来た」


優しげな笑顔でこちらを見つめる目は
真剣なように見えるけれど
気まぐれなのか、本気なのかは
私には分からない

オタクにこんなこと言ったらダメですよ
ガチ恋勢になってしまいますよ

なんと返したらいいか分からず
ただ彼を見つめていると彼のスマートフォンがなる


「やべ、」

「残念、時間切れだ」

「稽古抜けてきててさ」

「また来るから」



そういう彼は我が物顔でstaff onlyの扉を開け
誰かに電話をしながら南口を出ていった

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作者名:ゆき | 作成日時:2023年2月4日 21時

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