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業務中
1階のロビーでいらっしゃったお客様のお出迎え
笑顔で接客しながらも
頭の中は推しのことでいっぱい
彼のこともちらりと考える
また来るって言ってたけれど
たくさんの観光客が居るこの施設に天下のジャニーズ様が来たら
軽くパニックになるのは必然だ
一昨日の撮影ですら人だかりが出来てしまい
撮影が大変だったのに
撮影後の彼の言動を思い出して
頬が熱くなるのを感じる
撮影であった女の子全員にあんなことしてるのかと
頭を抱えたこともあったけれど
今後私と彼の世界線が交わることはほぼないので
私には関係無いかと考えるのを放棄した
「佐倉さん」
『ん?何?』
声をかけてきたのは今年入社の可愛い後輩
「なんか、南口の方にサングラスにマスクとハット被った全身黒ずくめの男がいるんです…」
『何その小学生探偵が出てきそうな設定は』
「誰か探してるのか分からないですけど、従業員が通る度にチラチラ見てて怖くて」
『え〜不審者かなぁ、警備に連絡しとくよ』
「ありがとうございます」
不審者だったら危ないな
直ぐに警備課に連絡をし、出てきてくれた警備員さんと共に南口へ向かう
何気ない感じで、平静を装って
ゆっくり男から見られないような位置取りをしながらある程度まで近付く
だが、私はこういうのが苦手だ
男を凝視してしまい気付かれる
サングラスマスクの男がパッと顔を上げる
やば!
「さくら」
近付いてくる男に名前を呼ばれる
警備員さんが私の前に立ってくれるが
私はその声に覚えがある
『大丈夫です。知り合いです』
警備員さんにそう伝える
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作者名:ゆき | 作成日時:2023年2月4日 21時