検索窓
今日:18 hit、昨日:24 hit、合計:24,580 hit

37 ページ39

再度皆さんにお礼を言い控え室を出る


『それでは失礼致します』


ドアの音がならないようにそっと閉め
終わってしまった夢のような時間と
行かなくてはならない勤務にそっと溜息を着く


「でけぇ溜息」

『!?』

「おせぇ」


声がしたそこには控え室前の廊下の壁に寄りかかって
鋭い瞳でこちらを見る我が自担
その瞳を見つめられなくて思わず下を向く

なんでここに居るの…?
そう思ったのが伝わったのか彼は続ける



「待ってた」



待ってた…!?
何故!?



「ここで働いてるんだね」

「髪の毛シニヨンにしてるの雰囲気変わっていいね」

「似合ってる」

「制服も可愛い」

「この後まだ仕事?」

「って言っても俺もまだ仕事残ってるからアレなんだけど…」

「って聞いてる?」

「無視すんなよ」



無視をしている訳ではなく
自担が私を待っていたと言うことに衝撃を受け
私に話しかけて来ているということにも衝撃を受け
何も話せなくなっているだけなのです


「おい、さくら」


『!!!!』


急に名字を呼ばれて思わず顔を上げると
さっきよりも近い彼に


『あひえぇ!』


小さく悲鳴を上げて退くと
クックッと喉仏を揺らして笑う


「なんちゅー声出してんだよ」

『オタクは自担を目の前にしたらこうなります、う!』

「さっきまで普通だったじゃん」

『仕事なのでぇ!!ち、近いです!』


喋りながら1歩、また一歩と近付いてくる彼に
もうどうしていいのか分からない


「運命♡とか言ってた子と同一人物?」

『あの時はもう頭おかしかったんです』

「あのキメ顔可愛かった」

『ああああ!もうそうやってオタクをからかわないでください』


彼の顔がぐんと近付く
これ以上近付かれたら私の心臓が止まってしまうのでは無いかと思った時

彼を探すスタッフさんの声が聞こえる



『よ、呼ばれてますけど』



そう声をかけると彼は小さく舌打ちをして顔を離す
そして私を再度見つめて


「また来るから」


そう言って彼は廊下の奥へと進んで行った

また来るって何!?

38→←36



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
110人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆき | 作成日時:2023年2月4日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。