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ぴあアリーナ
新しく出来たばかりの会場はとても綺麗で
みなとみらいにあるからか風が強くて寒かった
昼公演に同行させて貰うことになり
会場付近でぴぃ子と待ち合わせる
「やっほ〜」
と手を振りながら近付いてくる彼女は
ワンポイントに赤を使い大人っぽい服装で現れた
かくいう私も似たような格好
お互いにお互いの参戦服を見て思う
『大人になったねうちら』
「あの時は盛り髪キャバ嬢みたいなお姉さまばかりでその人たちに憧れてたしね」
『特攻服とか着てたよね』
「背中に自担の名前刺繍してね」
「「大人になったね｣」
談笑し会場へ入る
ドキドキの座席ガチャだ
出戻るなんて決めてしまって
元担が自担になった今
静岡公演以上に緊張するのは当たり前で
ぴぃ子と震えながら座席を確認する
「アリーナアリーナアリーナアリーナ！！！」
『はええまじか！』
バタバタと手足を動かして喜ぶさまは
決してお上品なお姉様とはいえないけれど
素直に嬉しかった
アリーナの座席表と私たちの席番号を見比べて驚愕する
メンステから3列目
ヒィヒィ言いながら座席に座ると
想像以上の近さに心臓が高鳴る
「やばい鼻血出そう」
興奮を抑えきれないぴぃ子を横目に私は内心焦っていた
忙しさを言い訳に作るのをサボっていたファンサうちわ
これだけでも一応持っていくかと
安易に考え持ってきたのは
亜美に貰った婚姻届うちわのみ
「A？どしたの？近すぎて魂抜けそう？」
黙ってしまった私を心配してくれるぴぃ子
違うんですよ
持ってきたうちわを見せる
「それ絶対たいぴに見せなよ」と笑う彼女
１回見られてるから余計に恥ずかしい
いや、彼がその時のことを覚えてるはずも無いんだけれど
なんとなく恥ずかしい
実はさ…
とぴぃ子に静岡公演で起こったミラクルについて話す
「はぁ！？何それもうあんた嫁ってことじゃん」
『そうなるじゃん！？』
いや、そうはならないんだけれど
オタクの思考回路は普通では無いから
「だったらさ、そのうちわ今日も掲げなよ。たいぴ気付いてくれたら優勝じゃない？」
とは言われたものの恥ずかしくて
やはり公式うちわの裏に重ねて持つ
この前みたいに間違えて出すことのないように気をつけよう
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年2月4日 21時
