9 ページ11
それからというものの私は担降りしていた事など忘れ
夢中で彼の姿を追った
神席だから目の前にほかのメンバーが来ることもあるけれど
頭の中は彼のことでいっぱいだった
ローラースケートで走り抜ける彼が生み出した風を感じ
ご機嫌な彼からどうにかファンサが貰えないかと片手でハートの半分を作ってみたりもした
が、これまで全スルー
''見つめる''なんて言う最高級のファンサを頂いてしまったから
もうそれ以上は何も貰えない気もしていた
3秒見つめて貰えたら最高なのに
ワンコーラス彼のソロパート中ずっと見つめて貰っていたのだからそれだけで満足だ
彼がここを通るのはあと1回のみ
変な悪あがきはせずに彼をただ見つめよう
この目にしっかりと彼の姿を焼き付けて起きたい
彼がゆっくりとこちらへ歩いてくる
「あっ!」
あともう少しで目の前に来る
そう思った時隣の方がペンライトを落としてしまう
私の足元に落ちたペンライトを拾わない訳にも行かず
彼が目の前に居るであろうにしゃがんでペンライトを拾う
はいと隣の方に渡すと
彼女はすみませんすみませんと小声で謝り
お礼を言ってくれた
ラストチャンス逃したな〜なんて思い視線を彼女から正面の花道に向ける
『え?』
思わず声が漏れる
そこには未だ元担が立っていた
しかも私達の方を見たまま、笑顔で
110人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆき | 作成日時:2023年2月4日 21時