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それからというものの私は担降りしていた事など忘れ
夢中で彼の姿を追った

神席だから目の前にほかのメンバーが来ることもあるけれど
頭の中は彼のことでいっぱいだった


ローラースケートで走り抜ける彼が生み出した風を感じ
ご機嫌な彼からどうにかファンサが貰えないかと片手でハートの半分を作ってみたりもした

が、これまで全スルー

''見つめる''なんて言う最高級のファンサを頂いてしまったから
もうそれ以上は何も貰えない気もしていた


3秒見つめて貰えたら最高なのに
ワンコーラス彼のソロパート中ずっと見つめて貰っていたのだからそれだけで満足だ

彼がここを通るのはあと1回のみ

変な悪あがきはせずに彼をただ見つめよう
この目にしっかりと彼の姿を焼き付けて起きたい

彼がゆっくりとこちらへ歩いてくる


「あっ!」


あともう少しで目の前に来る
そう思った時隣の方がペンライトを落としてしまう

私の足元に落ちたペンライトを拾わない訳にも行かず
彼が目の前に居るであろうにしゃがんでペンライトを拾う

はいと隣の方に渡すと
彼女はすみませんすみませんと小声で謝り
お礼を言ってくれた


ラストチャンス逃したな〜なんて思い視線を彼女から正面の花道に向ける


『え?』


思わず声が漏れる

そこには未だ元担が立っていた
しかも私達の方を見たまま、笑顔で

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作者名:ゆき | 作成日時:2023年2月4日 21時

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