Tear5 ページ7
色からして彼女の涙代わりの花と似ていたが、形が違う。
別の花のようだった。
「これは金木犀よ」
ふわりと甘く、いい香りが漂う。
「それで、金木犀の花言葉はなんなんだ？」
僕がそう聞くと、彼女は目を見開いて笑った。
「ドラコがマグルの話に興味を持つなんて！
相槌はうつけれど、あんまり質問なんてしないから驚いたわ！」
｢勘違いするな、別にマグルなんて興味ない！
だが、Aが僕にピッタリだという金木犀の花言葉には興味がある｣
｢私の話に興味を持ってくれて嬉しい｣
Aははにかむ。
｢金木犀の花言葉は、【志の強い人】｣
｢それのどこが僕にピッタリなんだ？｣
｢あなたは努力家だもの
たくさん私より物事を知っているし、同級生だけじゃなくて先輩や後輩からも慕われているようだし、あとクィディッチもやってる。
家のお話もよくしているし、きっと将来のことも考えてるでしょう？
志高いあなたにピッタリよ｣
……よくも恥ずかしげもなく、そんなにすらすらと人のことを褒められる。
両親にだって、そんなに褒められたことなんてない。
｢どう？気に入った？｣
彼女が僕の顔を覗き込む。
｢……悪くは無い｣
そんな僕を見て、Aは気に入ってもらえたことが嬉しいらしく、ニコニコした。何やら咲かせた金木犀の花を瓶に詰め、リボンを掛けて僕にくれた。
｢いつも私と話してくれるお礼よ｣
他の人が見たら普段もらう高級なプレゼントとは比べると、劣っているなんて言うかもしれない。
だけど僕にとってはこのプレゼントが何よりも嬉しかった。
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作者名：ソイみるく。 | 作成日時：2023年8月23日 22時
