『初恋～Ki story～』 (ページ39)

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Aが部屋の中に居ないという事が分かり、俺はいてもたってもいられず部屋を飛び出していた。

気持ちは焦るばかりでエレベーターが到着する時間も1階に着く時間も長く感じて「早くしろよっ」無駄にエレベーターのボタンを連打しまくっていた。

1階に辿り着き扉が開くと俺の前に居るのは紛れもなくA。

咄嗟にAの腕を引きエレベーター内へと引き寄せ少し冷たくなってるAのカラダを抱きしめていた。

「良かった無事で･･･」

本当に良かった。
Aの身に何かあったらって考えたら怖くて仕方がなかった。
この腕の中でAの存在を確かめられただけで思わず泣きそうになっていた。

部屋に付きAに何かあったんだろうなって分かっては居たけど、あえて今回は理由は聞かず仕事であった出来事やメンバーの事を話して気を紛らわしてやる事にした。

時折Aの顔から笑顔がこぼれ、心の中でガッツポーズをした俺(笑)

お互いシャワーを済ませ、もう何回同じベッドで寝てるであろう布団の中へと潜り込んだ。

目を瞑り寝る段階に入ろうとしてた時、ふと視線を感じ閉じてた瞼を開くとAとの視線が交わる。

「どうした？」と聞くと『今日は本当に有難うね』と一言呟いた。

俺は左手を差し出し「ほらっ」と言ってAの右手を取ると指を絡ませた。

Aは1人じゃないんだっていう意味を込めて。

一瞬Aは驚いた顔をしたけれど、安心したのか目を閉じ眠りへとついていった。

Aの寝顔を見ながら「はぁ･･･」とため息がこぼれる。

俺今めっちゃ頑張ってる。(色々な意味で)