『初恋～Ki story～』 (ページ18)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:68,421 hit

18 ページ18

和之「別に好きな子が出来たんだ。
それに彼女のお腹の中には俺の子供が居る」

その場に立ち尽くして声も出ないA。
俺は彼女の肩を両腕で支えるのが精いっぱいだった。

和之「だから俺と別れてくれ！勝手な事言ってるのは分かる。
だけど彼女には俺の子が居るんだ」

静かにAの口が開いた。

『ねぇ、私に子供が居たら少しは変わってた？
こんな事にはなってなかった？』

和之「そうかもしれない･････ホントすまない」

「ずいぶん勝手な理由なんですね」

俺は聞いてて黙っていられなかった。
二人の視線が俺へと集まる。

「子供が居なかったから？
いくらでも子供を作るチャンスなんてあったんじゃないんですか？
そんな理由言い訳にしか聞こえないんだけど」

『ミツ･････』

「Aはしばらく落ち着くまで俺が預かります。
相手に子供が出来たなら、次はちゃんとその相手も子供も幸せにしてやって下さい。
この離婚届けは俺が責任を持ってAが落ち着いたら提出させますんで」

相手の男は何も言葉を発する事はなかった。
いや、何も言う資格なんてないだろ。

「A、荷物は用意出来た？
大丈夫だから･･･行くぞ」

涙を流しながら今にも崩れ落ちそうなAを支えながら、俺たちはこの場を後にした。

「A？何も心配するな。俺が居るから」

震えながら必死にこらえている彼女を見るのがとても辛かった。

俺の家に戻ってもまだ放心状態のA。
肩を抱きかかえながらソファへと座らせた。

俺はその隣に座りAの肩を抱き寄せ胸に収めた。
優しく背中をさすりながら

「ガマンしなくていいんだからな。
思いっきり泣け」

Aは吹っ切れたのか子供のように大声を上げ泣き出した。