『初恋～Ki story～』 (ページ16)

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「お邪魔します･････」

玄関を抜けると１階にリビングが広がり、２階に寝室とバスルームといったこの家の間取り。
中は白を基調としていて、Aの趣味なのかカントリー調の雑貨や家具で揃えてあってとても可愛いらしい部屋だった。

『ミツ、ごめんね。すぐ荷物まとめるからちょっと待ってて』

Aは再び２階にある寝室へと向かい、俺は待っている間リビングで部屋の中を見回していた。
その時ちょうど目に入ったダイニングテーブルの上に置かれた離婚届と結婚指輪。
そしてチェストの上に飾られた数々の写真。

「この人がAの旦那さんか･････」

ウェディングドレスを身にまとってるAとその隣に映っている男性。
二人ともとても幸せそうに笑っている写真。

その他にも新婚旅行に行った時の写真だろうか、何枚も写真立てやボードに飾られていた。

「なんか不思議だよな。
二人ともこんなに幸せそうな顔してるのに･････」

きっとこれまでの間、二人は互いに愛し合っていたんだと思う。
どこでどう歯車がかみ合わなくなったのか･････

「愛の誓いを立てても脆く崩れ去るんだな･･･」

写真の中で笑うAを見ると、胸の奥がキュっと痛くなった。

ガチャ

ドアが開く音がして振り返ると、そこにはAの隣に写っていた旦那さんが現れた。

和之「おい。お前誰だ」

いや、誰だって言われても･････

「初めまして。突然お邪魔して申し訳ありません。
Aさんの幼馴染の北山って言います」

とりあえず幼馴染のほうが自然でいいよな。
ってか、これってもしかしたら修羅場の予感？
なんでまたタイミング良く出て行った旦那が帰って来るんだよ！

俺の頭の中は色んな事が頭をよぎった。