最期に君の声が聴けたなら。

【残り43週間】 ページ18

‐A side‐


莉犬と別れころちゃんの家に向かうことになった。



A「ふんふん♪ふふふんふん♪」

ころん「どうした鼻息荒げて」

A「歌ってんだよｗ」

ころん「今日テンション高いよな〜。いいことあった？」

A「だって莉犬に会えたし〜検査結果が良くて寿命が延びたかも....」



あ、まずい。しくじった。。

ころちゃんにまだ病気の事言ってない。え、割とまずい。




ころん「検査？寿命？占いでもしたの？」




.........そういやこいつバカだったわ。



A「あ、そうそう。占いしたら120歳まで生きてるって言われたの」

ころん「めっちゃおばあちゃんまで生きるじゃんｗでも僕より早く死んでほしくないからその占いが当たってることを願うわ」



ごめん、絶対君より早く死ぬ。


あと10ヶ月で死ぬなんて実感わかない。死ぬってことが分かるようで分からない。


お母さんもこんな気持ちだったのかな〜




ころん「あ、そういや赤坂となに話してたの？」

A「ん？莉犬？あっそうそう！莉犬ね声優になって今もう役もらってるの！」

ころん「すげぇなあいつ。そういや高2でもう演劇部の華だったもんな。」

A「めちゃくちゃ頑張ってたしね！やっぱり莉犬はすごいや。」



夢をかなえた莉犬。将来がある莉犬。

私にはない未来。

ちょっぴり、いやすごく莉犬が羨ましかった。

ころちゃんもだ。努力したから来年から高校の先生になる。

私なんて努力しても報われないことがもうすでに分かってる。




ころん「え、ちょっと待って。なんで泣いてんの」

A「え？」


目を触ると涙でいっぱいだった。

景色がにじんで見えた。


悔しいんだ、悲しいんだ。

羨ましいんだ。きっと。


A「夢を叶えられるっていいよね。」

ころん「え？」

A「ころちゃんも莉犬も。羨ましいよ、なんだか」

ころん「........なんでそんな悲しそうに笑うんだよ。Aだって天文学者になるんじゃないの？」



............沈黙が広がる。




ころん「泣きたいときは泣けばいいじゃん。なにもかもが分かんなくなって泣きたくなったときは泣けばいいよ。なんで笑うのさ。」


なんでって言われても。

私だって素直に泣けるんなら泣きたいよ。

やりきれなくなって走ろうとしたら後ろから10年以上聞いてない声がした。




？「久しぶり。A」


死ぬまで聞きたくなかった声。会いたくなかった人。



A「おとう...さん？」

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