愛で殺したい！【九井一】

第9話　思慮深いのね、お兄さん！ ページ10

　

(九井一side)


「は、ははは...！！」


お姉さん...基新島Aのマンションから出て、思わず笑いが溢れた。

セキュリティはまあまあ。
一般人からすればそこそこするであろう値段。

女性が1人で暮らすにはまあ妥当なマンションだろう。

...まぁすぐ引っ越すことになるし、関係ねェか。

三十路だというわりにあのウブな反応。
思い出すとまた笑いそうになる。

運命がどうとか、ガラじゃねぇケド、なりふり構ってらんねぇな。

オレの事を女だと思ってんのは予想外だったけど...距離を詰めるには丁度いいな。

あぁ、そう言えば。

オレを路地裏に置いていったあのボンクラはどうせスクラップだろうし、傍に置いて囲っちまうのもいいかもな。

それとも、Aチャンの会社、囲っちまおうかな。


初恋から十数年、すっかり歪んだ自分の恋愛感情に呆れながらもどこか浮かれている自分がいる。


なぁ赤音さん。
オレ、幸せになってもいいのかな？


マンションの前に止められた、フルスモークの外車に乗り込みながら、初恋の人に想いを馳せる。

今度こそ、ぜってぇ幸せにしてやる。

だからまぁ、


「今はまだ、可愛い”ココちゃん”でいてやるよ。」


いつ気付くか、楽しみだな。

Aの赤面した顔を思い出し、舌なめずりをした。

　

　

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